◆エロ広告の放置は「課金してほしいから」なのか

 X上の不適切な広告に対しては「広告を報告」という“通報機能”が存在する。ただ、どこが不適切だったのかを入力して報告を終えても、それで終了ではない。通報したユーザーへ、「プレミアムプラスですべての広告をなくす」という文言と一緒に、有料会員へのアップグレードを促してくるのだ。

 これでは「不快な広告を見たくないのなら課金しろ」と言っているに等しい。不適切な広告を掲載していることはプラットフォーム側の問題であるにもかかわらず、その原因を無課金であるユーザー側に責任転嫁しているようにも感じる。

 また、冒頭でインプゾンビについて触れたが、Xはインプゾンビ対策には後ろ向きな印象だ。収益を得るためには有料会員になる必要があるため、言ってしまえばインプゾンビそれ自体が増えるほうがXとしては喜ばしいことを意味する。だからなのか、インプゾンビに不満を持つユーザーが後が絶たないものの、適切な対応には踏み切っていない。

 インプゾンビの件から察するに、Xは有料会員を増やすことしか考えていないのだろう。不適切な広告を放置することは、有料会員を増やすための“営業努力”なのかもしれない。収益増加のために活動することは企業としては当然ではあるが、それでも誰もが不快な広告を目に入ってしまう現環境は看過できない。

◆Xの見解は? Xに疑問点を問い合わせてみると……

 Xのポリシーに違反していると思われる広告が多数掲載されているが、X社の広告に関する掲載基準はどうなっているのか。X社に「ポリシーに違反している広告が掲載されている現状は把握しているのか」「ポルノ広告についてはポリシー違反ではないという考えなのか」「今後は不適切な広告に対してどのように対応していく予定なのか」など複数の疑問点について問い合わせたが、期日までに回答はなかった。

 「禁止されるコンテンツに関するポリシー」を堂々と掲げていながらも、その通りに運営できていないX。インプゾンビ対策やブロックの仕様変更などでも、ユーザーが求める対応にはことごとく消極的な姿勢を見せており、不適切な広告に対してもふさわしいアクションを見せる可能性は低い。