◆現実にあり得るキャラクタービジュアルの追求も
だが、続いて特報や予告編が公開されると好意的な意見も増えていき、さらに本編では特にキャストに称賛の声が相次いだ。
特に「唯一無二で完璧で究極のアイドル」という設定の高すぎるハードルを越えなければならない「星野アイ」役の齋藤飛鳥と、コミカルな表情や時には暴言を放つ様も愛らしい「有馬かな」役の原菜乃華には、原作のイメージにピッタリな演技や存在感に絶賛が寄せられている。
さらに、最初に解禁されたキャラクタービジュアルとは違い、実際の本編ではコスプレ感を覚えるところはほとんどなかった。
WEBサイト「ドラマ&映画【推しの子】Behind The Scene」掲載の井元隆佑プロデューサーへのインタビューでは、「ウィッグの着用ではなく、皆さんに地毛を染めてもらうこと」を早々に方針として出して、「世界観を守りつつ、現実にいてもおかしくないキャラクタービジュアルを目指し何度も髪色や髪型、衣装においても協議を重ねながら取り組んだ」ことなどが語られている。
原作漫画は作画担当の横槍メンゴによるかわいらしい絵柄とキャラクターも含めて人気を得ており、だからこその生身の人間が演じる実写化はやはり分が悪かったといえる。それを覆すかのように、キャストの奮闘はもちろん、メイクや衣装や小道具など、実写というアプローチに合わせたビジュアルにこだわり尽くしたことも、間違いなく高評価の理由だろう。
なお監督のスミスはマキシマム ザ ホルモンやフレデリックのミュージックビデオや、漫画の実写ドラマ化作品では『ぼくは麻理のなか』や『ケンシロウによろしく』での実績もある。そのケレン味のある演出や、映像そのものの美しさに魅了された。
◆二宮和也がラスボスを演じる説得力