定額制動画配信サービス「Netflix」で見られる海外の人気グルメ番組を、動画と見どころ付きで紹介します。世界各国の現地料理や文化について学べる番組が多数!Netflix/ネトフリの概要や料金プランも説明あり。
Netflixの概要と料金プラン
※知っている方は飛ばしても問題ありません。
Netflix(正式名称:ネットフリックス)は、アメリカの定額制動画配信サービスおよびその運営会社の名前です。日本では「ネトフリ」と呼ばれています。他社が運営する同類サービスは「Hulu」や「Amazonプライムビデオ」が有名で、併せて御三家のような状態です。
※定額制動画配信サービスとは、月や年ごとに定額を支払うと動画が見放題になるサービスのことです。映画館やビデオショップのように、作品ごとにお金を支払いません。
ネットフリックスは190ヶ国で配信されており、有料会員数は約2億人。会員の約1/3を占めるのはアメリカですが、それを除いても日本の人口に匹敵する数字を誇ります。独占配信のオリジナルシリーズが充実しており、世界中の優良な作品が見られるのが強みです。
こちらは2020年12月10日に配信が始まった、Netflixオリジナルの日本国内ドラマ「今際の国のアリス」。
2020年2月には、ジブリ作品の世界配信が始まったことでも話題になりました。筆者が暮らしていたイスラエルでは視聴可能でしたが、見られない国(日本含む)も存在します。国ごとに視聴可能作品や人気作品が異なるので、現地のトレンドを知るのにも便利です。
ネットフリックス・イギリス&アイルランドの、ジブリのCM。
なお、Netflixの月額料金は3種類。880円、1,320円、1,980円です。画質や接続デバイスの上限などによって値段に差があります。
Netflixのおすすめグルメ番組10選
グルメ番組といっても様々(料理コンテスト系etc)ですが、この記事では、 世界の料理について学べて海外旅行気分も味わえるタイプ の番組の中から、特に評価が高い人気番組を紹介します。
1. Ugly Delicious/アグリー・デリシャス
韓国系アメリカ人のシェフ「David Chang /デイビット・チャン」がホストを務める、アメリカのドキュメンタリーシリーズです。毎回のエピソードのタイトルには料理名がついており(1話「ピザ」、2話「タコス」のように)、それ自体が本題となっています。
この作品の特徴は、題材となる料理の「定義と普遍性」をとことん詰めていくところ。 例えばピザなら、「どこまでがピザで、どこからがピザでなくなるか」のような問答が繰り広げられます。 「アリとナシの境界線」を見定める ような態度で、「食の大喜利」としての面白さがあります。
番組では、題材への理解をデモンストレーションすべく、世界中の多様な名店が登場します。例えばピザの回だと、「伝統的なアメリカのピザ屋」「新進気鋭な日本の創作ピザ屋」「本家イタリアのピザ屋」「チェーン店(ドミノピザ)」など。
興味深いのは、登場するお店が「答え合わせ」になっているのに「正解」になっていないところ (アメリカンピザの条件が実は名店ごとに食い違っていたり、イタリアで最高峰のピザが本家のナポリピザの協会から破門扱いになっていたりetc)。
そしてこの番組のキモは、ではぜそんなカオス(意訳=Ugly)な状態になっているのか、というところ。Uglyでもデリシャスに着地した背景には、現地の文化・歴史・ヒトのアイデンティティが絡んでいることが見えてくるので、 食を通して「ダイバーシティとはなんたるや」を考えさせられる内容 になっています。
これはアグリー・デリシャスの裏テーマとも言え、デイビット・チャン本人が「アジア系アメリカ人」ということとの相乗効果で、重要なメッセージのように機能しています。「アメリカでアジア人として生きるとは」 という、当事者にとって聞き流せない真理のようなことが、デイビット・チャンの言葉を通して視聴者に提示されます。
2. Somebody Feed Phil/サムバディ・フィード・フィル
ユダヤ系アメリカ人のライター/プロデューサー「Philip Rosenthal/フィリップ・ローゼンタール」がホストを務める、アメリカのドキュメンタリーシリーズです。意訳すると「誰かフィルに食わしたって」(Feedには、親が子を食わせる、人が動物にエサを与える、のような意味があります)。
毎回のエピソードのタイトルには都市名がついており(「バンコク」、「テルアビブ」のように)、現地の名物グルメや名店を紹介しています。ある程度パターンが決まっており、「王道・定番の有名店」「新進気鋭」「社会問題反映型」を押さえる流れで、番組が展開します。 食を通して、その都市の概要や重要グルメが一通り分かる ようになっています。
ユダヤ系アメリカ人であるフィリップ・ローゼンタールが、たびたび駆使する ユダヤ人ネタ も見所のひとつです。欧米世界で「ユダヤ人 」というアイデンティティは、ある程度普遍的に通じるのですが、この感覚を日本で例えると、「おれ関西人」みたいな会話が、なぜか外国人同士で通じてしまうというようなイメージで、独特の世界線があります。
余談ですが、ユダヤ人の総人口は世界で1,800万人ほどと言われており、その8割はイスラエルとアメリカに在住しているとされます。陰謀論などでアメリカとユダヤの関係がおもしろおかしく語られたりしますが、これは単純に人口が多いうえに親戚付き合いとかもあったりするので、必然的に関係が強いというだけともいえます。
3. Salt Fat Acid Heat/ソルト・ファット・アシッド・ヒート
イラン系アメリカ人のシェフ/ライター 「Samin Nosrat/サミン・ノスラト」の著作を映像化した、ドキュメンタリーシリーズです。 彼女は美味しい料理を構成する条件を4要素に定義しており、それらは「Salt=塩分、 Fat=脂肪分、 Acid=酸味、 Heat=熱」です。 番組名を意訳(というか直訳)すると「塩、油、酸、熱」となるでしょうか。
番組は単純明快な展開で、全4エピソード 「塩」「油」「酸」「熱」となります。毎回、この要素がいかに重要か、どう工夫されているのかということを学ぶために、それらの最高峰と思われる 世界各国の生産者を彼女が尋ねます。 Saltの回では日本の醤油と味噌、Fatの回ではイタリアのチーズとオリーブオイル、といった内容です。
発酵食品業界(日本だと納豆)では「チロってる」という表現があるそうですが、チーズを味見して「チロってる」と説明しながら泣きそうになったりする彼女の表現力も魅力です。毎回のエピソードの終わりに登場人物(または食材)が集合するホームパーティーが開催されるという展開も、ほっこりして良いです(サムバディ・フィード・フィルもこの展開は類似)。
4. Cooked/クックド
ユダヤ系アメリカ人の作家/ジャーナリスト/教授 「Michael Pollan/マイケル・ポラン」の著書を映像化した、アメリカのドキュメンタリーシリーズです。作中では、料理担当として、Salt Fat Acid Heatのサミン・ノスラトも登場します(玉ねぎを炒めて感動しているシーンも見所)。
原作では「Cooked: A Natural History of Transformation」というタイトルで、 4つの要素に基づき構成されています。 それらは「Fire/火:加熱調理」「Water /水:煮込みなど」「Air/空気:パン作りについて」「Earth/土:発酵について」 です。
5. Street Food/ストリートフード
世界中のストリートフードを紹介していく 、アメリカのドキュメンタリーシリーズで、タイトル通りのストレートな内容です。毎回のタイトルは都市名になっており、「Bangkok, Thailand」 「Osaka, Japan」のように展開します。
これまでの番組のようにホストは登場しませんが、ただ料理を紹介するだけでなく、 文化背景や料理人の人生などにも言及しています。「アジア編」「ラテンアメリカ編」があります。