日曜劇場「海に眠るダイヤモンド」(TBS系)が最終章に向けて盛り上がってきた。
当初、1950年代の長崎・端島(軍艦島)の人々の生活と2018年の東京の物語が行き来する展開が、両者の関わりを謎にしていたため、指針が得られず、困惑する視聴者もいたようだ。ところが、第6、7話で過去と現在のつながりが見えてきた。
◆斎藤工演じる進平に鮮烈な見せ場が
1950年代、「一島一家」として助け合って生きてきた人たち。彼らは石炭産業で生活を成り立たせていたが、時代が変わるにつれ、島から人は離れ、1974年に閉山、現在、人は住んでおらず、世界文化遺産として観光地となっている。
2018年の東京でホストをやっていた玲央(神木隆之介)は、そんな歴史を何も知らない。あるときその島の出身者であるらしい老女・いづみ(のちに朝子〈杉咲花〉と判明)と出会うことで、知らない歴史に触れるのだ。
玲央はいづみ(朝子)が島で暮らしていたときの大切な人・鉄平(神木二役)に瓜二つであった。玲央と鉄平の関わりとは……と気になるなか、第7話では端島の炭鉱で大きな事故が起こる。幸福だった端島の生活に陰りが……。終わりのはじまりのようなこの事故で、鮮烈な見せ場があったのが、斎藤工演じる進平であった。
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進平は鉄平の兄で、端島で炭鉱員として働いている。長男らしい頼もしさがあり、家族や仲間思いの好青年だが、戦時中、戦場でヘヴィーな体験をしたらしく、どこか冷めたところがある。さらに戦後、妻・栄子が台風で行方不明になり、その面影を忘れることができずにいた。そんな進平の哀しみを湛えた陰影が魅力的だ。
やがて進平は、福岡から流れてきた謎めいた女性リナ(池田エライザ)と惹かれあっていく。リナは福岡のヤクザものに追われていて、お互いが抱えている暗い過去のようなものが引き合うかのような、どこかいけない恋愛みたいな空気感がほかのシーンとは桁違いの濃密さで、異質さを放っていた。