とはいえ、別に星河に入ったっていいと思うし躊躇している意味がよくわからなかったところ、このドラマは「ギャル魂によって」と銘打ってしまっているのでした。このまま結がオファーを受け入れてしまうと、ギャルと関係なくなってしまう。ここでハギャレンを呼び出し、ギャルに説得させる必要があったんですね。突然、なんの連絡もなくやってきた4人衆とカラオケボックスで体よく会話をさせ、なんとなく結を納得させるのでした。
「甘えてよくね? それってムスビンが信用されてる証拠やし」
そう言ったのはルーリー(みりちゃむ)でした。
本当なら、これを言うべき人はほかにいるんです。好きな人が床屋をやれば床屋をやるし、農業をやれば農業をやるという人生を送ってきた女性、結ママ(麻生久美子)が言うなら必然性がある。ギャルに言わせる意味がない。
いよいよギャル要素がお話を進める上で邪魔になってきたな、と感じます。ギャルじゃなきゃ言えないことは、何も言ってない。ただ物語の進行に必要なセリフのいくつかを、派手な服を着せた役者にしゃべらせているだけです。しかも、こんな都合のいいタイミングで唐突に現れていることにも納得できない。
と思ったら、ママが呼んでたんだって。おまえギャルたちに交通費と休業補償払ったんだろうな。東京や熊本や福岡の人に連絡して「娘のために神戸来て」なんてお願いしといて、自腹はありえないからな。ありえないよねえ。日帰りでもないだろうし4人分合わせたら20万くらいになりそうだけど。
■甘えって何なん?
でもたぶん自腹なんでしょうから、ママはものすごくハギャレンに甘えています。
甘えてるとか、ズルいとか、そういうことで悩む主人公を描く回に相応しくない展開です。これもギャルを呼ばなければいけないという物語の外にある力が作用していて、気持ちが悪い。
そしてそもそも、結という人の専門学校時代は、他人に甘えてばかりの日常でした。最初の調理実習の献立はサッチンとカスミン(平祐奈)に作らせていたし、翔也の献立もそう、炊き出しの前に味が濃かったり薄かったりする理由を結に教えたのも班の3人で、結は何も考えていなかった。