セリフのような調子のナレーションをするタイプの俳優もいるが、岡田のナレーションは、映像を邪魔しないように配慮した客観的な視点に徹している。空撮画面とあいまって、この達観した声の魅力は、岡田の俳優人生が次のフェーズへ確実に入ったことをつつましく伝えている気がした。
前後して同年3月27日に授賞式が行われた米アカデミー賞では、人気俳優役で出演した映画『ドライブ・マイ・カー』(2021年)が作品賞にノミネートされる快挙を果たした。授賞式でその美麗ぶりが話題だった岡田は、濱口竜介監督の演出によって映画俳優として画面内に存在することの強度を鍛えた。
2022年の岡田将生から、声と存在のタブルの魅力で完全無欠の俳優像が浮かぶ。岡田自身の心境には何か変化があったのか。
ほんと漠然とだけれど、そろそろ「結婚」という一文字が浮かんできてもおかしくないよなぁと思ったりしたものだ。
◆結婚についてふれていた高畑充希
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高畑充希にとっての2022年はどうだったか。岡田同様に、映画の公開作はなく、舞台『ミス・サイゴン』帝国劇場公演がありつつ、主演ドラマ『ムチャブリ!わたしが社長になるなんて』(日本テレビ)が放送されている。注目すべきはバラエティ番組出演だった。
林修がMCを担当する『日曜日の初耳学』(TBS、2022年2月20日放送回)で、2021年に30歳の節目を迎えた高畑が、結婚についてふれていたのが話題になったのである。
「30までに何者かにならないといけないのかな」や「あんまり年齢に縛られていいことないなと思いました」と話しつつ、30代に入ったことで、結婚願望を問う世間からの月並みな眼差しに対するカウンターにしている。
そうした眼差しに関してはむしろ岡田のほうが気にしていたのかもしれない。岡田は、2020年に結婚した松坂桃李と戸田恵梨香の婚姻届の保証人になっている。