STARTO社がネット上の権利侵害や誹謗中傷の対策に本腰を入れたといえるが、早くも「いたちごっこ」状態になっているとの指摘もある。

 転売サイトの出品者に対する情報開示請求の件が大きく報道されると、X(旧Twitter)で「下3桁提示可」がトレンドワード入りした。「下3桁提示可」とは、転売界隈で使われる用語だ。購入したチケットの後方席への「すり替え」を防ぐためのもので、会員番号の下3桁を提示することで「すり替えていない」と証明するなどの意味がある。

 大手転売サイトで頻繁に使われていた言葉だが、これが急にXでトレンドワード入りしたということは、報道を受けて「転売ヤー」たちが転売サイトから逃げ出し、SNSに売買の場を移したのだとみられている。大手転売サイトで開示請求を進めるのは決して無駄ではないだろうが、悪質な利用者がSNSやアングラな掲示板などに移ってしまうようなら、「いたちごっこ」状態となりかねない。

 根本的な解決策としては、転売チケットの需要をなくすことが重要で、そのためには公式リセールサービスの導入なども進めていかなくてはならないだろう。誹謗中傷などについても、同様の「いたちごっこ」状態になる可能性はある。旧ジャニーズ時代から比べれば大きな進歩だが、まだまだ課題は山積しているといえそうだ。