◆黒沢清作品の驚異的な化学反応
こうした前田敦子の横顔の魅力は、今に始まったことではない。そもそも同作の監督である黒沢清作品に前田が初主演したときから、まさにイケメンだと直感していた。
「AKB48」卒業(2012年)後の主演作品として、巨匠・黒沢清監督との組み合わせは意外だったが、『Seventh Code』(2014年)では、驚異的な化学反応を生じさせた。
最初、鈴木亮平演じる得体のしれない男を追ってロシアまできたか弱い女性かと思いきや、どっこい、実はその正体は、すご腕の殺し屋という。映画のクライマックスで、突如身を翻して、切れ味鋭いアクションで男を仕留める。殺し屋に様変わりする瞬間の静かなる横顔が素晴らしかった。とにかくあっけにとられる大転換は、前田にしか演じられないと心底驚いたものだ。