昨年「東京コミコン2023」のステージで語ってくださった「ほかの誰かになろうとするな」「失敗を恐れるな」というお話には大きな反響があり、SNSでもたくさんの人々を勇気づけてくれました。あれから1年、最近は配信ドラマ「エリック」やウェス・アンダーソン監督との仕事など、さらに仕事の幅が増えているベネディクトさんですが、2024年はどのような1年でしたか。

カンバーバッチ:(ウェス・アンダーソン監督との)『ヘンリー・シュガーのワンダフルな物語』がアカデミー賞(短編実写映画賞)を受賞できたのはすばらしいね。彼の新たな映画(タイトルは「The Phoenician Scheme(原題)」と報じられている)にも僕は出るけど、これもまたすばらしくて鮮烈な映画だよ。ベルリン郊外で撮影したけど、最高のスタジオでの最高の経験だった。他の作品についても話すと、今年1月に撮った「The Thing with Feathers(原題)」もすばらしい作品になるはずだよ。マックス・ポーターのすばらしい小説(「Grief is the Thing with Feathers」)に基づく映画で、妻を突然失いふたりの息子と過ごす男性を描いた実直ですばらしいヒューマンドラマなんだ。みんなに観てもらうのが楽しみだよ。「The Roses(原題)」ではオリヴィア・コールマンと共演していて、それもまたすばらしい作品だよ。

カンバーバッチ:それから、昨年みんなに話したことについてだけど、それは僕も今でも大事にしている考え方だよ。挑戦心を忘れないことは重要だ。ほかの誰かを演じずに、自分にできることを一生懸命がんばることが大切だよ。自分以上になろうとする必要はない、自分が持つものを尊重してあげればいいんだ。