この『潜入兄妹』というドラマは人物配置、構図、スピード感といったところをビシビシに決めてくるわりに、細部や仕掛けについてはけっこういい加減です。閻魔帳についても、この時代に物理ハードディスクって、と思っちゃうし、今回のユキの活躍はハッキングというより千里眼的な万能さでピンチを救っていて、ツッコミどころがないわけじゃない。

 でも、楽しいんです。香港ノワールのスタイルを貫いていることで、ある種のファンタジー空間が生まれているんですよね。ここまでコテコテの世界観で描かれると、多少の不備やツッコミどころがあっても「あっちの世界ではそういうこともあり得るか」と思えてしまう。

 すごく成功したと思うんです。こういうドラマを作りたいと思った人の作った作品として、満点の出来栄えだと思う。新作で日本語の香港ノワールが見られるなんて思ってなかったし。

 最終回も、もう信用しちゃってるので、楽しみしかありません。

(文=どらまっ子AKIちゃん)