実際に小さな水田まで造営されていますが、長く続くことは叶いませんでした。若き日の朝子と鉄平の努力は、実らなかったのでしょうか。
現代パートでは、朝子の半世紀後の姿であるいづみ(宮本信子)が大きな企業を経営しています。いづみの会社がどんな事業内容なのかまだはっきりとは明かされていませんが、軍艦島で果たせなかった緑化事業に関する会社である可能性があります。
恋人同士として過ごした時間は短かった鉄平と朝子ですが、コスモスの種が残されていました。鉄平にそっくりな玲央(神木隆之介:二役)の手によって蒔かれ、コスモスの種は半世紀を経てようやく芽を出すことになります。
地面からちょこっと顔を出したコスモスの芽に、いづみは、いや朝子は鉄平の面影を感じているようです。鉄平から朝子へ、玲央からいづみへのささやかな愛を感じさせたシーンでした。
ベテラン俳優・國村隼のいい仕事ぶり
若いキャストたちの恋愛エピソードが盛りだくさんだった第6話ですが、鉄平の父・一平を演じたベテラン俳優の國村隼も実にいい仕事ぶりでした。炭鉱員たちとの間に溝が生じていた炭鉱長の辰雄(沢村一樹)の家を、一平は一升瓶を持って訪ねます。辰雄の妻は島を出ており、寂しい正月を迎えていることを知っての気遣いでした。
一平の優しさに触れた辰雄は心を開き、息子の賢将が一人前に成長できたのは、一平や島のおかげだと感謝の言葉を口にします。國村の出演シーンはあまり多くはありませんが、こんな場面をきっちり締めてくれることで、『海ダイヤ』は大人も楽しめるドラマになっているんだと思います。
炭鉱火災事故を描く第7話、炭鉱員としてのプライドが誰よりも高い一平の言動が注目されます。そして、第5話で殺人を犯した進平、炭鉱の閉山式の記念写真に写っていなかった鉄平の行方はどうなるのでしょうか。今夜放送の第7話、鉄平たち一家は風雲急を告げることになりそうです。