黒澤映画の人気作品ランキング第10位:どですかでん
1970年公開、主な出演者は頭師佳孝さんです。四騎の会と東宝が製作して、東宝が配給しました。黒澤明さんの初めてのカラー映画です。
山本周五郎さんの小説「季節のない街」を原作に、郊外の貧しい地域に暮らす少し変わった人々が精一杯生きる日常を描いています。黒澤明さんが結成した四騎の会の第1作で、第44回キネマ旬報ベスト・テン第3位、昭和45年度芸術祭優秀賞を受賞しています。
黒澤映画の人気作品ランキング第9位:蜘蛛巣城
1957年公開、主な出演者は三船敏郎さん、山田五十鈴さんです。製作・配給は東宝のモノクロ映画です。
シェイクスピアの戯曲「マクベス」の舞台を、日本の戦国時代に置き換えて脚本されています。ラストシーンで鷲津武時役の三船敏郎さんが、味方達から無数の矢を浴びるシーンが印象的です。この映画は第31回キネマ旬報ベスト・テン第4位を獲得しています。
黒澤映画の人気作品ランキング第8位:天国と地獄
1963年公開、主な出演者は三船敏郎さんです。製作・配給は東宝です。娯楽時代劇でヒットを飛ばした黒澤明監督が、偶然読んだエド・マクベインの小説「キングの身代金」に触発されて映画化しました。
常務の息子と間違われ運転手の息子が誘拐された事件を描いたサスペンス映画です。元々、黒澤明さんは誘拐罪の刑の軽さに憤りを感じていたそうです。劇場公開のパンフレットにも誘拐行為への批判が綴られていました。
公開後に都内を中心に誘拐事件が多発。国会でも問題に取り上げられて、1964年に「身代金目的の略取」を刑法に追加するきっかけとなりました。
黒澤映画の人気作品ランキング第7位:生きる
1952年公開、主な出演者は志村喬さん、小田切みきさん。製作・配給は東宝のモノクロ映画です。東宝創立20周年を記念して製作されました。
平凡な日常を生きていた市役所の職員が、ガンで余命が短いことを知って「生きる」意味を市民公園整備に注ぎます。「生きる」意味を考えるという普遍的なテーマをベースに、お役所勤務の官僚主義を批判した作品です。
この映画は第4回ベルリン国際映画祭のベルリン市政府特別賞、第26回キネマ旬報ベスト・テン第1位、昭和27年度芸術祭賞を受賞しています。
黒澤映画の人気作品ランキング第6位:隠し砦の三悪人
1958年公開、主な出演者は三船敏郎さん、千秋実さんです。製作・配給は東宝のモノクロ映画です。黒澤明さん初のシネマスコープを取り入れた作品です。
戦国時代、敗国の侍頭と姫が城に残っていた大金を利用して、敵国を突破するまでを描く物語。黒澤映画の中でも特に娯楽性が強く、初めてのワイド画面を活かして迫力あるアクションシーンが観られます。この映画は、第32回キネマ旬報ベスト・テン第2位を獲得しています。
黒澤映画の人気作品ランキング第5位:赤ひげ
1965年公開、主な出演者は三船敏郎さん、加山雄三さんです。製作・配給は東宝です。山本周五郎さんの「赤ひげ診療譚」を原作として、江戸時代後期に徳川幕府が設立した小石川養生所の日々を描きます。
貧困と病に苦しむ人々と懸命に治療に取り組む医師との交流。社会に対し怒りを持つ老医師赤ひげと、若い蘭学医の保本登との師弟関係。人間の成長や人間愛を感じることのできる感動作です。
この映画は第39回キネマ旬報ベスト・テンで第1位を獲得しています。また、三船敏郎さんが第26回ヴェネツィア国際映画祭で男優賞、サン・ジョルジョ賞を受賞した作品です。
黒澤映画の人気作品ランキング第4位:椿三十郎
1962年公開、主な出演者は三船敏郎さん、仲代達矢さんです。製作・配給は東宝のモノクロ映画です。前年公開した「用心棒」の続編的な作品です。
山本周五郎さんの「日日平安」をベースにして、主役を腕の立つ三十郎として大幅にアレンジ。血飛沫をポンプを使って噴出させることで、インパクトのある殺陣やアクションシーンに仕上がっています。中でも、三十郎が40秒で30人斬りするシーンは注目です。
この映画は、第36回キネマ旬報ベスト・テン第5位を獲得しています。また、1995年にはイギリスBBC「21世紀に残したい映画100本」にも選出されました。
黒澤映画の人気作品ランキング第3位:羅生門
1950年公開、主な出演者は三船敏郎さん、京マチ子さんです。製作・配給は大映のモノクロ映画です。
芥川龍之介さんの小説「藪の中」と「羅生門」をベースにアレンジを加えて、平安時代の乱世を舞台にした物語。ある変死事件について荒れ果てた羅生門で語られる真実とは…。目撃者や関係者の視点で同じ変死事件の状況を描き、証言の食い違いに潜む人間のエゴイズムを追及します。
日本映画では初めてヴェネツィア国際映画祭金獅子賞とアカデミー賞名誉賞を受賞。「世界のクロサワ」を広めた作品だといわれています。
黒澤映画の人気作品ランキング第2位:用心棒
1961年公開、主な出演者は三船敏郎さん、仲代達矢さんです。東宝と黒澤プロダクションが製作して、東宝が配給したました。
気まぐれ者で腕の立つ浪人・三十郎が、宿場町で立ち寄った居酒屋の権爺と出会い、泥沼化した抗争を終わらせて平穏を取り戻すまでのアクション時代劇。
迫力ある殺陣のシーンや、三十郎の独特のキャラクターが魅力的です。特徴的な殺陣は2度斬りをすること。1度斬りではすぐ死ぬはずがないとリアリティを追及しています。この映画で三船敏郎さんは、ヴェネツィア国際映画祭男優賞とブルーリボン賞主演男優賞を受賞しました。
黒澤映画の人気作品ランキング第1位:七人の侍
1954年公開、主な出演者は三船敏郎さん、志村喬さんです。製作・配給は東宝のモノクロ映画で、前半と後半の間に5分のインターバルを含む上映形式でした。
通常作品の7倍もの費用をかけて、数千人のスタッフやキャスト、1年余りの撮影期間をかけて制作されました。戦国時代を舞台に、野武士の強奪に困る百姓に雇われることになった7人の侍たち。野武士を倒すために、身分差による不和を乗り越え協力して闘いに挑みます。
望遠レンズを多用することで、今までにないアクションシーンが生み出されました。特に、豪雨の中での決戦は迫力満点です。この映画でヴェネツィア国際映画祭銀獅子賞受賞を受賞しました。
ジョン・フォードの西部劇から刺激を受け、黒澤明さんが生み出した「七人の侍」は次世代の映画人に衝撃を与えました。アメリカでは1960年に「荒野の七人」として、2016年に「マグニフィセント・セブン」としてリメイクされています。
名作だらけの黒澤映画を見て楽しもう!
黒澤明さんの映画は、50年以上も前から観客を魅了し続けています。しかも、日本だけでなく世界の映画ファンを唸らせる作品ばかりです。
最新映画にも興味を惹かれますが、長年愛される映画を振り返って楽しんでみるのも良いものです。この機会に、名作ばかりの黒澤映画を手に取って「世界のクロサワ」の魅力を体感してくださいね!