新潟県で「酒蔵を未来へ-SAVE OUR SAKE」をコンセプトに日本酒事業を展開する「FERMENT8」は、米農家の視点を活かし、無農薬無化学肥料で栽培した魚沼産コシヒカリ玄米を磨かずに仕込んだ日本酒「廣新(HIROSHIN)玄米醸造」と、同じく魚沼産コシヒカリを50%まで磨いて醸した純米大吟醸酒「廣新(HIROSHIN)純米大吟醸」を、11月23日(土)に発売した。
コシヒカリの特有の旨味を酒造りに活かす
今回同社が酒米ではなく飯米のコシヒカリを使って酒造りを行ったのは、農業と酒造りが一緒に続けていける仕組みを作りたいという考えから。
一般的に日本酒には「酒米」が使われるのが主流だが、酒米専用の作付けには農家にとって収量や需要の変動によるリスクが伴う。例えば、コロナ禍では酒の需要が急に落ち込み、酒蔵が酒米を買い取れないケースがあった。その結果、酒米農家が大きな負担を背負うことになり、この問題をどうにか解決できないかと考えた。
そこで、食べる米として需要が安定しているコシヒカリを活用し、酒蔵がその米に合わせて酒造りをする方法を模索。この方法であれば、農家にとって「作ったのに売れない」というリスクを減らすことができ、地域の米作りや酒造りが安心して続けられる土台ができると考えたのだそう。
さらに、コシヒカリの特有の旨味を酒造りに活かすことで、これまでにない新しい風味や個性を持つ日本酒を作ることにも挑戦している。飯米を使うことで、単に農業の効率を上げるだけでなく、米作りの未来を守りながら、地域全体で酒造りを盛り上げる仕組みを作る一歩になればと思っている。
磨かずに玄米そのものからの酒造りに挑戦
近年の酒造りでは、米をどこまで磨くかを競う「磨き合戦」が続いており、結果として米のごく一部しか使われない酒造りが主流となっている。同社はこの状況に疑問を感じ、本来の米の姿を活かしきる方法はないかと考えた。そして逆に、全く磨かずに玄米そのものから酒を造ることに挑戦した。