自身の一芸を生かした発信をすることで、視聴者に「親の七光りではなく自分の力で注目を集めている」という印象を与えることができる。加えて、スイーツ投稿の専用アカウントでは自身が映った写真を投稿することもない。純粋にスイーツ作りが好きである姿勢がうかがえ、親しみやすさを醸し出すことに成功している。
希空がこのアカウントをスタートしたのは3年前、中学2年生だった2021年9月。仮に見た目や出自に頼った投稿を続けた後に自作スイーツの投稿を始めると「人気取りのためにスイーツ作りを始めたのでは?」と疑問を持たれる。それではスイーツや料理が好きな人から反感を買いかねない。“育てるべきSNSアカウント”の順番を間違えなかったからこそ、辻希美と杉浦太陽の娘という“引き”が今後薄れたとしても、スイーツの投稿を続ける限りは料理系のインフルエンサーとしての地位が揺らぐことはない。
◆絶妙なバランス感覚と戦略に長けた「ヒロイン」
とはいえ、希空に注目したくなる要因として“お家柄”は無視できない。まず辻希美と杉浦太陽の2人は、愛情深く子育てに取り組んでいる様子をSNSで長年投稿していた。“両親の愛情をめいいっぱい受けて育った”というクリーンかつポジティブなイメージを希空が持っていることは間違いなく追い風になっている。
また、美男美女 、おしどり夫婦、世帯収入が相当高い家庭の子どもであり、あまりに理想的すぎる。少女漫画に登場する“主人公が憧れる先輩”のような設定だ。手が届かないハイクラスな属性を持っており、嫌味に映ってしまう可能性は低くない。しかし、スイーツ作りという一般的な趣味・特技を披露して親近感を覚えされている。この“憧れ”と“親近感”のバランスが絶妙であるため、反感を買いやすい“親の七光り”をむしろ武器にしているように思う。