愛想笑いの心理③処世術
処世術としての愛想笑い。
これは日本の社会の枠組みに入ってしまえばある程度は仕方ありません。 社会生活を送るにあたってマクドナルドの「スマイル0円」ではないけれど、愛想笑いは結構相手からも求められるものです。
ただ、気をつけないといけないのは「愛想笑い」はばれる...という事。
小さなころは愛想笑いを全く理解せず、何を言ってもニコニコして聞いてくれる大人の笑顔に裏があるなんて考えません。 ある研究では思春期まで、愛想笑いと本当の笑いの見分けかたが難しい、もしくは見分けかたがわからないという結果が出たそうです。
でも、年齢を重ねていくと愛想笑いの見分けかたが分かるようになり、ほとんどの場合は「見え見え」になるのだとか。
確かに、愛想笑いしている人って、見ていて分かりますよね。 ただ愛想笑いをして本当にその場が円滑に回っているのなら問題はありません。 むしろ、いつもしかめっ面をしている人がいれば「愛想笑いくらいしろよ!」と言いたくなるくらいです。 問題なのは「どうして愛想笑いをしているのか?」という意味です。
愛想笑いの心理④無意識(いつもしているから分からない)
なぜ愛想笑いをしているのか自分でも意味が分からない。
この無意識はよくありません。 処世術としての愛想笑いは理解できますし、周りも愛想笑いと認めながら悪い気分になる人はいないでしょう。 ただ、いつも無意識で笑顔を作っているのはちょっと問題ありです。
愛想笑いが習慣づいているという事は誰とでも上っ面で付き合っているという事。
これでは疲れる。 愛想笑いってなかなか疲れるものなのです。 それはそうですよね? 自分がそう思っていない事でも同意したり、違う事がしたいのについ相手に合わせてしまって自分の時間が削られてしまったり。
愛想笑いってその場はしのげますが、結果自分が苦しくなることだってあるのです。 一旦立ち止まって「自分が本当にしたい事」の意味を考えてみませんか?
愛想笑いの心理⑤本音を隠している場合
本音を隠している場合の愛想笑い。 どの愛想笑いも突き詰めていけば「本音を隠している」という意味になるのですが、この場合の心理は「あえて」本音を言わずに愛想笑いをしている事です。
つまりその場をやり過ごそうとか、気に入られようとかする愛想笑いではなく、腹の中では全く違う事を考えているのにあえて愛想笑いをしている心理です。
この愛想笑いはちょっとたちが悪いですね。 愛想笑いをしながら心の中では人をバカにしていたり、あとで陰口を言うタイプがこの愛想笑いをする人です。
裏表がある人がこういう愛想笑いをよくするのですが、悪意があるので心配です。 だいたいこういう愛想笑いの見分け方は簡単で、笑っているというよりもニヤニヤしているという方が正しいでしょうか。 その場では愛想笑いをして「こいつバカだなぁ」と心の中で小ばかにする。 人を見下すことで自分が優位に立とうとするのですね。
でもこれでは優位に立つどころかどこに行っても煙たがられる結果になってしまいます。
愛想笑いの心理⑥緩和剤として
コミュニケーションの一環としての愛想笑いもあります。 コミュニケーション能力の高い人は実にうまく会話に愛想笑いを取り入れます。
「笑顔」は人の心のガードを下す役割があり、最初から笑顔で接してくれる人とは、無表情な人、しかめっ面をしている人よりも話しやすいし心を開きやすいですよね。 こういう愛想笑いの使い方は会話の良い緩和剤になり、特に初対面や仕事上の付き合いで重要な意味をもってきます。
緩和剤として愛想笑いを使う時は意識的に使う事がコツ。 なんでもかんでも人に同意してニコニコしているという意味ではありません。
有効に愛想笑いを使うには、まず「いつも」を取り除く必要があります。 いつもニコニコしていると相手から必ず
「この人は何を考えているのだろう?」
と思われてしまいます。 相手が話をしている時は愛想笑いでもニコニコしながら受け入れ、自分の意見を言う時には真剣な表情で。 いつも愛想笑いではなく、真剣な表情も本当に笑っている表情をも見せてこそ流れるように意味のある会話が進んでいくのです。
愛想笑いの心理⑦自信がない
愛想笑いの心理、最後は
「自信がないから」
自分に自信が持てない人は特に愛想笑いをよくします。 自分に自信がないから、自分の意見をはっきりという事はできないですね。 つい
「私はこう思うんだけど、でもAさんが違うというならそうなんだろう」
と自分を否定してしまいます。 また自信がない人は人に好かれることに自分の存在意義を見つけようとするので、余計に愛想笑いをしてしまう傾向があります。 でもこれでは逆効果。 だって愛想笑いはしょせん愛想笑いでしかないからです。
きっとこの愛想笑いをするタイプの人は、そんな自分が好きではないはずです。
世の中にはズケズケと何でも言ってくるくせになぜか人に可愛がられる人がいます。 こういう人の事を見ていてとてもうらやましく思うでしょうし、自分の方がよっぽど愛想がよくて「いい人」なのに、どうしてこうも違うのだろう?意味が分からないと軽く落ち込んだりもするでしょう。
でも、愛想笑いばかりをしている人は会話をしていてやっぱり面白くないのです。 愛想笑いの見分けかたができない人なんか大人にはいません。 初対面で話をする場面なら愛想笑いはある程度必要です。 でもいつも顔を合わせる同僚とずっと愛想笑いしているのなら、相手に自分の事が伝わりません。 それどころか愛想笑いをしている限り、無味乾燥な答えしか返ってこないので、会話していてもつまらないと思われても仕方がないというものです。
仲良くなるなら素の自分を認めてもらう事。 それには愛想笑いという鎧を脱がないと始まりませんね。