歌手の荻野目洋子が2日、ネットニュースの見出しで名前を出さずに「55歳女性歌手」と表記されたことに対して苦言を呈した。最近は有名タレントを扱った記事でも、タイトルで名前を出さずに「年齢+職業」で表現するケースが増加しており、荻野目の問題提起をきっかけに物議を醸している。

 荻野目は自身のX(旧Twitter)でニュースサイト「ENCOUNT(エンカウント)」が2日に配信した「高木ブーが恒例ライブ報告 55歳女性歌手の近影にも注目『素敵に歳を重ねている』」と題した記事を引用しながら、「55歳女性歌手って…年齢隠してないですけど、そんなふうに紹介されるのだったら名前ももはや必要ないですね。時代は変化しているのに…」と困惑の思いを告白した。

 続けて「91歳現役で歌唱&演奏された1933ウクレレオールスターズのレジェンド、ブーさんの美しい功績をまとめてくだされば何の違和感もなかったのに…」として、主役は90代になっても現役を続けている高木だと強調した。

 荻野目はその上で、「意味のない見出しを追加するのは、一つでも多く興味を引いて数字を伸ばそうとする魂胆が見えて仕方ないです。文字数を考えても、年齢なんかよりもっと意味ある言葉で人の心を掴むべきでは?(いつも言うけど批判じゃないです。素朴な疑問)」と断じ、メディアに向けて「『ペンは剣より強し』今こそ世の中は心ある記事を欲しています」と呼びかけている。

 昔から記事の見出しに名前ではなく肩書きや年齢を表記することはあったが、基本的にそれはタレントの知名度が低く、記事タイトルに名前を載せても分からない人が多いと判断された場合に限られていた。しかし、最近は認知度が高いはずのタレントについても「年齢+職業」で表現するケースが急増している。

 例えば、3日付のスポーツニッポンWEB版は「元アイドルと結婚した34歳・人気俳優の近影にファン仰天『高倉健さんですか』『昭和』『治安悪そう』」と題した記事を配信したが、「34歳・人気俳優」は山田裕貴のことで、結婚した「元アイドル」は元乃木坂46の西野七瀬のことだった。山田は近年最もブレイクした俳優の一人といえる存在で、西野もアイドル時代から知名度が高く、どちらも年齢と職業で表記する必要性はないように思える。