◆結婚、出産、解決に向けて

やがて志穂にも新しい出会いがあり、結婚します。信頼し合っている夫とのセックスでも、痛みからは解放されません。自然分娩で出産してからも、志穂のセックスは痛みに支配されています。

誰とも付き合わず、結婚もしないで生きていくなら、セックスなしでも問題はないのです。事実、そういう人はたくさんいますし、ご自身が楽ならそれでいいのです。

でも志穂は違いました。夫も子供も大切、夫とは別れたくない。たかがセックス、と言い切ってしまえるほど、セックスを軽視できないのです。

「痛いからできない、でもあなたを失いたくないから我慢する」という女性の心情もつらいですし、「気持ちよくさせられない、我慢させている」という男性の心情も耐え難いに違いありません。

お互いがお互いを慮(おもんばか)っているからこそ、志穂と夫の健也の距離も、じょじょに離れていってしまいました。

◆病気、ストレス、原因はさまざま

本書によると、「20~40代女性の約66%が性交痛を感じることがある」と回答しているといいます(※「ジャパン・セックスサーベイ2020」より)。

半数場が経験していながら、なかなか表面化しないのは、「愛されたい、嫌われたくないという思いから、自分の本当の気持ちを隠して演技を続けている人も少なくありません」という実態からかもしれません。

性交痛の原因は「うるおい不足、女性ホルモンの減少、ストレス」など。病気の場合もありますので、いずれにしても産婦人科で相談するのをお勧めします。

志穂と健也がどのようにこの危機を乗り越えたのか、涙なしでは読めない結果を、あなたの心で感じてください。

※「ジャパン・セックスサーベイ2020」

(一般社団法人日本家族計画協会家族計画研究センターが実施)

調査対象:全国満20歳~69歳の男女

調査期間:2020年2月21日(金)~2月24日(月)