「現在、34頭の猫以外に犬、馬、ヤギ、羊、インコなどの鳥類、イグアナなどの爬虫類、ウサギ、ハリネズミ、変わり種としてカタツムリもいますが(笑)、近年は猫へのオファーが多く、ブームを肌で感じます」
自由気ままで、ほかの動物に比べて演技をさせるのが難しいといわれている猫。ニモくんが大河ドラマの大役に抜擢された決め手はなんだったのか?
「人間のタレントさんと同じように動物タレントにもオーディションがあります。
書類選考を経て、うちからは5頭の猫がオーディションに参加し、カメラテストで『カメラ目線ができるか?』『呼んだら来るか?』『抱っこを嫌がらないか?』などの演技力を見られたのですが、ニモは、実際に平安時代の絵巻物にも登場する柄だったことと、動きが一番俊敏だったことから選ばれたようです」
◆俊敏性が生かされた名演技が大きな話題に
ストーリーのカギとなる演出に絡み、最もバズった第7回「おかしきことこそ」では、雨の中に飛び出す俊敏性を生かした演技が光っていたが、安否がわからないままだったので、小麻呂ファンは不安な1週間を過ごすこととなった。
しかし、翌週の第8回は小麻呂が倫子の元で愛らしくくつろいでいるシーンから始まり、SNSには「速報・小麻呂無事!」と安堵する投稿が相次いだ。
「猫は基本的に濡れるのを嫌がる子が多いのですが、ニモは雨の演出もさほど気にせず頑張ってくれました。
うちでは演技のトレーニングというよりも、猫の気持ちを乗せてあげることや、撮影後にいかにストレスを発散させてあげられるかに重点を置いてお世話をしています。僕たち人間も仕事のストレスを飲みにいったり、運動したりすることで発散しますよね」
◆演技の向き不向きは猫種や性格にも左右される
「また、日常の習慣として僕たちトレーナー以外の人にも触ってもらったり、いろんな場所に連れていったりすることで、慣れるというか『自分はこういう世界に生きているんだな』と理解してもらうことで、大勢の人や大型機材があるような撮影環境でも萎縮することなくこちらの指示に応えてくれるようになるんです」