申し立てのあと「離婚調停」はどうやって進むの?

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離婚調停を申し立てた後は、どのように調停が進むのでしょうか。順を追って解説します。

離婚調停の流れ

離婚調停は、家庭裁判所が申立人の都合を聞いて、第1回調停の期日を決め、相手方に通知をします。

裁判所の都合があるため、相手方が日にちの変更を希望した場合はおよそ1ヵ月、もしくはそれ以上先の日にちになることが一般的です。もし、相手方の都合の悪い曜日や時間が事前に分かっているのなら、あらかじめ「進行に関する照会回答書」にその日程を記載しておくことをおすすめします。

調停当日は、男女の調停委員(民間の有識者とされる方々。複雑な法律問題に関するときは弁護士が担当することもあります)から申立人、相手方と交互におよそ30分ずつ話を聞かれるという流れで進みます。

はじめは、申し立てた側が呼び出され、「申し立てをした理由」や「これまでの結婚生活の状況、現状」などの話を聞かれます。その後、申し立てをされた相手方が呼び出され、同じように「これまでの結婚生活の状況」などを聞かれることになります。

その後、もう一度それぞれ30分ずつ話を聞かれ、問題点を整理します。「次回の裁判までに準備すべきこと」「検討してほしいこと」などについて話をされ、第1回の調停期日が終了します。ケースによりますが、1回の調停で2時間くらいかかると見ておいた方がよいでしょう。

夫婦の間に未成年の子どもがいて、親権が問題になっている場合には、家庭裁判所調査官(心理学・社会学などを専門的に学んでいる裁判所職員)が調停に同席し、質問をしたり、調停の進め方について意見を述べたりすることがあります。

裁判官は普段の調停には同席していませんが、調停の成立・不成立や重要な進行に関わるときなどに、調停委員らと進め方についての打ち合わせをし、調停が成立・不成立のときには同席します。

離婚調停はどのくらい期間がかかる?

離婚調停が成立・不成立となるまでの期間は、それぞれのケースによりますが、一般的な傾向としては以下のとおりです。

離婚調停が短期間で終了する場合

  • 離婚調停に相手方が来ない、あるいは所在不明であるとき
  • 慰謝料の有無や金額の対立など、法的な判断が必要になる上に金銭面での開きが大きく、話がまとまらない可能性が高いとき 双方の間で意見の隔たりが大きいなど、話し合いでの解決が困難な場合、離婚調停が不成立となるため、短期間で終了する傾向があります。

離婚調停が長期間になりやすい場合

  • 離婚するかしないかで対立している
  • 離婚自体での争いがないものの、財産分与の整理が必要なとき
  • 相手方が財産開示に応じない、あるいは同居時のお金の使途について開示を求める場合
  • 親権者をどちらにするかで対立がある 複数にまたがって争いがある場合、離婚調停が長期間になりやすいです。

    親権者がどちらになるかで対立が激しい場合には、子どもの現状(特に別居していて一方が面倒を見ているとき)や子どもの年齢によっては、意向を家庭裁判所調査官が調査します。報告内容を踏まえて調停を進める場合には、何回か調停が行われます。

    一般的に、調停は1ヵ月に1回しか行われないため、4~5回行うとだいたい半年になります。調停成立までの期間は半年が目安になりますが、調停には何回で終了という回数制限がないため、場合によっては10回以上行われることもあります。

    離婚調停が成立・不成立の場合

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離婚の話がまとまったとき、あるいはまとまらなかったとき、その後はどのような流れで進めることになるのでしょうか。

離婚調停が成立したときは?

離婚調停が成立すると、裁判官が調停条項を読み上げ、内容を双方に確認します。調停が成立すると、「調停調書」という書類が作られます。これは離婚にあたっての条件面を書類にしたもので、調停調書に基づく支払いがされない場合は、相手方の資産・給与の差し押さえなどを強制的に行うことができるという強い効力を持ちます。

調停が成立した場合には、市区町村の役所で戸籍訂正の手続きを行う必要があります。調停成立から10日以内に行わないといけないので、手続きを行う側は調停調書を受け取り次第、早めに手続きをしましょう。

結婚で姓が変更している場合、離婚をすると元の姓に戻るので、結婚時の姓の使用を希望するときは、必ず3ヵ月以内に役所に書類の提出をする必要があります。また、子どもの姓を変更する場合は、家庭裁判所での手続きが必要になりますのでご注意ください。

離婚調停で話がつかなかったときは?

離婚するかどうかで「話がまとまらない」「離婚の条件面で折り合いがつかない」という場合には、離婚調停が不成立となります。

それでも離婚したい場合には、離婚裁判を起こす必要がありますが、離婚裁判で離婚が認められるには、法律上、離婚理由にあたる事情が必要になります。

別居期間が3年未満の場合には、相手方に「不貞行為がある」「暴力がある」など、明白な離婚理由にあたる事情がないと、離婚が認められることは難しいでしょう。その場合は、タイミングを見て再度、離婚調停の申し立てをすることを検討した方がいいかもしれません。