ともあれ、ほこ美ちゃんはほかのジムのプロボクサーを出稽古に招いてスパーリングをすることに。その日、海里くんは「いつもの神社で待ってる」とほこ美にメッセージを送っていたのでした。
そのスパーリング相手はほこ美と同じレベルの選手だったはずですが、いざリングに上がってみたら、ちょっと大きくて強そう。しかもその相手選手には、「スパーリングで佐藤ほこ美をKOしたら100万円差し上げます」というメッセージが届いていました。
そのメッセージを送っていたのは、海里くんの同居人で弟のように接してきた悟(倉悠貴)でした。ちょいちょいほのめかされていましたが、どうやら悟は7年前に海里と試合をして、その試合中の事故が原因で亡くなってしまった平山大地(大東駿介)の弟のようです。
スパーリングでは、相手選手がほこ美のグローブタッチを無視して殴りかかってきます。同じレベルの選手を呼んだはずなのに、始まってみれば、どう見ても2人には実力差があるようです。コーナーに詰められて連打を浴び、足もグネってしまったほこ美。ノーガードになったところで渾身のフックを打ち込まれて失神。そのまま救急搬送されてしまうのでした。
■やっぱり純粋にスポーツと思ってないんだな
憎い相手をスパーリングでボコにする。ボクシングを扱うフィクションではしばしばこういったシーンが描かれますが、ああ、このドラマもやっぱりボクシングをスポーツではなく暴力として解釈しているんだなということが改めて明白になった場面でした。
『あのクズを殴ってやりたいんだ』では、海里くんの過去の試合で不幸にも亡くなってしまった平山大地の家族や関係者が一貫して「海里を恨んでいる」「許していない」という設定で話を進めてきました。それはもう完全に、一点の曇りもない「逆恨み」であって、ルールに則って試合をした海里くんには何の罪もないのですが、「恨んでいて当然」「復讐されてしかるべき」と、ほぼ犯罪者のように扱ってきました。