厳しい残暑から急に寒くなって…「体が季節に追いつかない」と感じている方は多いのでは? 実際、体調不良を訴える人は多いようで、早くもインフルエンザの全国的な流行が懸念されています。

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例年以上に健康管理が大切になりそうな今冬、どんな注意が必要なのか? 佐賀大学医学部附属病院小児科診療准教授の垣内俊彦先生に教えていただきました。

◆体調不良の原因は急激な気候の変動

冬は暖房を使うために換気をおこたりがちですし、乾燥していると鼻や喉の粘膜から感染しやすくなります。しかも、ウイルスは冬の寒さと乾燥が大好き。もともと冬は感染症が広がる条件や環境が揃う季節でもあります。

ただ、今冬のリスクはそれだけではないそう。垣内先生は「今年のような急激な気候の変動も、感染症流行につながる」と指摘します。

垣内俊彦先生
垣内俊彦先生
「私たちの体には季節の移り変わりとともに、体を暑さ・寒さに慣らしていく『順化』という機能があり、それによって体調を管理しています。しかし、今年は急に寒くなったため『寒冷順化』ができていません。それが、体の負担となって免疫力が低下してしまうのです。

免疫力が落ちると短期間で繰り返し感染症にかかることもあり、今年はそうした『感染症ドミノ』のリスクも高まりそうです」(垣内俊彦先生 以下カギカッコ内同じ)

季節の変化についていけず免疫力が落ちて感染し、感染症で弱っているところに、別のウイルスに感染してしまうのが「感染症ドミノ」。マイコプラズマ肺炎や手足口病、ノロウイルスも相変わらず流行中だし、新型コロナウイルスやRSウイルスの流行も懸念されています。

お医者さんを対象にしたアンケートでも、12月~3月には同じ患者さんが感染症に複数回かかるケースが増えるそうで、感染症ドミノには警戒が必要そう。

出典:ヒューマン・データ・ラボラトリ株式会社
医師への調査「同一の患者さんが感染症に複数回罹患するケースは、どの月に多くなりますか」(N=544)出典:ヒューマン・データ・ラボラトリ株式会社
「とくに、子どもや高齢者は注意が必要です。もともと子どもは免疫が未発達で、そのうえ、近年、細菌やウイルスへの接触回数が減っていて免疫が獲得できていない子が少なくありません。『ここ数年、風邪をひいていない』というお子さんは要注意です。