焦る佐紀さんに、男性は続けて「まったくこれだから、若い母親は」と誰に向かってでもなく言葉を吐き捨てました。
佐紀さんは「ごめんなさい」としか言えず、誰にも頼ることのできないまま、泣きわめく我が子をあやし続けました。すると、バスの最後尾に座っていたセットアップのスーツを着た女性が足早にこちらに近づいてきたといいます。
その女性は男性の前で立ち止まり、「おっさん、いい年して恥ずかしくないの? 赤ちゃんって泣くの仕事だから!! 今すぐ佐紀さんに謝るか、バス降りるかどっちかにしなよ!」少し低めの声で言いました、
驚いた顔をして少しビビった様子の男性は、すぐに停車ボタンを押し次の停留所でバスを降りたそうです。
◆ピンチを救ってくれた意外な女性
女性のあまりの迫力に静まり返った車内。赤ちゃんもびっくりしたのか、ぴたりと泣き止んでしまいました。佐紀さんは、その女性の迫力よりも彼女が自分の名前を知っていたことに驚いたといいます。
女性にお礼を言い「なぜ私の名前を…?」と恐る恐る尋ねた佐紀さん。
するとその女性は「佐紀さんお久しぶりです! 高校以来ですね!」と、さっきの低めの声とは打って変わって明るい声で返します。
よく見ると、なんとその女性は佐紀さんが高校のヤンキー時代にかわいがっていた後輩の真弓だったのです。佐紀さんに気づき、声をかけようと思っていた矢先の出来事だったといいます。
「えー! 分からなかったよー。だってそんな格好してるんだもん」
驚きを隠せなかった佐紀さん。こんなことがあるのかと、本当にびっくりしたそうです。
◆お礼に自宅に招いてご馳走
実は佐紀さん、結婚して今は普通の主婦で、いいお母さんしていますが、高校時代はかなりのやんちゃで地元でも有名なヤンキーだったそう。
後輩は「先輩が本気でキレたらヤバイと思って、私が怒っときました!」とバスの中で豪快に笑ったといいます。