スポーツ、芸能分野で輝かしい経歴を持つジョンソン氏の「大統領選進出話」は、昨日や今日に出てきたわけではない。話は2017年にさかのぼる。

 2016年の大統領選でトランプ氏が当選し、2017年に就任すると米国はトランプ大統領の行動に振り回され、次の選挙でトランプ大統領に代わる人物は誰がいいかという議論が巻き起こった。そんな中で行われたパブリック・ポリシー・ポーリングの世論調査で、大統領にふさわしい人物としてジョンソン氏が42%の支持を得て、トランプ大統領の37%を上回った。

 このデータについて、ジョンソン氏はテレビのトーク番組で「信じられないほど光栄だ。とても衝撃を受けた」「多くの人が、今よりもよいリーダーシップを欲しいと思っている」「何年にも渡って、私は人々に共感される男になったと思う」などと大統領選への意欲ともとれる発言をして注目された。

 2020年の大統領選ではバイデン氏がトランプ大統領を破って当選したが、ジョンソン氏と大統領選のつながりは消えなかった。

 バイデン大統領が就任した直後の2021年2月、NBCはジョンソン氏の幼少時代のエピソードを題材にしたファミリーコメディ『Young Rock』の放送を開始した。大統領になったジョンソン氏(2032年の想定)が少年時代を振り返るというストーリーラインで、様々な政治的憶測を呼んだ。『Young Rock』は人気シリーズとなりシーズン3まで制作された。

 放送が始まった直後の2021年春の世論調査では、ジョンソン氏の支持率は46%に上昇した。2022年の中間選挙が近づいた際、ジョンソン氏はCNNの番組で「世論調査の数字が、立候補した場合に国民の50%が私に投票するだろうというまで上がきたら、真剣に考えなければならない」と話し、改めて意欲をみせた。

 そして2023年11月、再選をめざすバイデン大統領に世論から本格的に疑問符がつきだしたころ、ジョンソン氏はポッドキャストで、過去に複数の政党から大統領選への出馬要請を受けたことがある、と明らかにした。