プロ野球はオフに入り、これから選手を待ち受けるのが契約更改。優勝したチームは当然、大幅アップと思われがちだが、今オフは少々特殊だ。今季の日本シリーズを制したのはDeNAだが、DeNAのシーズン順位は3位。ファンは納得いかないかもしれないが、あまり昇給は望めそうにない。

「選手やチームによって多少の差はありますが、契約更改のベースとなるのは基本的にレギュラーシーズンです。今年のDeNAの場合、打線の軸として大活躍した牧秀悟や勝ち頭の東克樹は上がるでしょうが、後はどうだか。

 過去にシーズン3位から日本一になった2010年のロッテの場合、レギュラークラスはほぼ現状維持で、大幅アップは3割を大きく超えるアベレージを残してシリーズMVPにも輝いた今江敏晃と、13勝を上げたエースの成瀬善久ぐらいでした。

不思議なのは、査定方法はどんどん細かくなっているのに、はじき出される額は大雑把なんですよね。近年は記録に残る数字だけでなく、進塁打にポイントが付いたり、怠慢プレーやボーンヘッドでマイナスポイントになるのは当たり前。ベンチの声出しまで査定に入れる球団もありますが、結局半数ぐらいの選手は現状維持で、増減の幅も50万円から100万円単位なんですよね」(フリーのベテラン野球ライター)

 プロ野球選手の多くは、人生の大半を野球に費やしてきた人ばかり。手練手管のフロント陣にかかれば、契約交渉など赤子の手をひねるようなものだ。

「選手側は年1回のイベントですが、球団側は毎年何十人も相手にしているわけで、まず場数が違う。ポストシーズンだけ活躍した選手には『レギュラーシーズンがダメだった』、その逆なら『勝負どころで足を引っ張った』、休養期間があれば『大事な時期にチームを離れた』、少しでも成績が落ちれば『去年より数字が…』、若手で活躍した選手には『3年やって一丁前』など、選手を言いくるめるフレーズはいくらでも用意しています。