サークル内の構造が入れ替わり、ちやほやされることが少なくなってしまった吉村さん。
仕方なく数少ない女性メンバーと交流をはかりますが、それまでのワガママっぷりから仲良くしようと声をかけてくれる人はいなかったそうです。
◆“姫は女王にはなれない”と言われハッとした
「正直もう辞めようと思って、サークルの副リーダーのおばさんのところに行ったんです。40代後半くらいかな。辞める理由は『人間関係が辛くなった』って伝えました」
すると、今まで姫の行いを見ても黙っていた副リーダーからこんな言葉が……。
「『あなたね、“姫は女王にはなれない”のよ』って。家に帰ってじっくり考えてみました。結局私より若い子が入ったら、みんな手のひらを返したようにそちらに行ってしまって。そして私のことは放置状態ですよね。
サークルの姫っていう自覚は自分ではありませんよ。でも、冷静に振り返ってみると、若い子に勝てる要素なんてありません。そして女王になるような知識や経験も、人徳だってあるわけじゃないし……。その女性の言葉が痛いくらい沁みました」
◆人からの好意を“当たり前”と思ってしまっていた
サークルを辞めた今も、ときどきその言葉を思い出して自分を見つめなおしているとか。
勝手に姫としてまつりあげて、いらなくなったら放置する側もどうかと思いますが、人からの好意を“当たり前”と思ってしまう、姫も、姫。
相手の好意を“当たり前のこと”と思った瞬間から、関係がゆがみ始めてしまうのかもしれませんね。
<取材・文&イラスト 赤山ひかる>
【赤山ひかる】
奇想天外な体験談、業界の裏話や、社会問題などを取材する女性ライター。週刊誌やWebサイトに寄稿している。元芸能・張り込み班。これまでの累計取材人数は1万人を超える。無類の猫好き。