そこで待っていたのは、月読命(石田ひかり)。月の力を借りて時間を戻す能力を持つ神様・月読命の手技によって、一命を取り留めた天宇受売命。しかし、月読命の力を持ってしても天宇受売命の神としての記憶を戻すことはできず、天宇受売命は“普通の人間”小夢ちゃんとして生きていくしかなくなります。
興玉さんはそんな小夢ちゃんを解決室に招き入れ、記憶が戻るのを待っていたのです。
一方そのころ、政府の依頼でビッグデータの解析の仕事をしている寿正(野間口徹)が人魚の死体を入手し、月読命に復元を依頼。その目的を「修理固成」つまりは「神々を総入れ替えすること」だと告げるのでした。果たしてこの寿正がヒルコなのか。そして解決室の神々の運命は? といった感じで次回へ。
ちょっと何言ってるか全然わからないと思いますが、こんな感じなんです、本当に。
■爽快感がすごい
文字にすると複雑怪奇な展開ですが、要するに最初は頼りなかった小夢ちゃんという女の子が実は神様だった、ということが明らかになり、第1話からのさまざまなシーンに潜んでいた伏線が一気に回収された、文字通りの「神回」となりました。広瀬アリスが「神としての自覚がある」「自分が普通の人間だと思っている」「再び神としての記憶を取り戻していく」というそれぞれのフェーズで的確なお芝居をしていたこともあって、爽快でダイナミックで、かつロマンチックな1時間でしたね。ホントに、あっという間に過ぎてしまった感じです。
お話としては、「解決室vsヒルコ」が「神vs神」であるとしつつも、実はヒルコは人間なのではないかという示唆が入ったことで、一度は神話をモチーフにしたファンタジーに振り切ろうとしたところから、現代SFへの揺り戻しが起こっています。
解決室の神様たちはそれぞれ、人の居場所が透視できたり、遠くにいる誰かを呼び出すことができたりという能力を持っています。でもそれって、スマホやらAIやらビッグデータやら、現代の人間たちが持っているテクノロジーによって再現できるのではないか。つまりは、人は神に近づいているのではないかというところを語り出したわけです。神々が備えている日本古来の倫理や規範と、身に余るテクノロジーを“持ってしまった”現代人との対比、あるいは対決みたいなお話にもなってくるのかもしれません。