スタジオは鬼越に対する非難一色という雰囲気であり、鬼越もいわゆる“負け顔”を見せてリアクションしていたが、まんじゅうの指摘はよく考えれば悪口でもなんでもない。鬼越のタレントパワーを証明するエピソードである。
昨年の『キングオブコント』(TBS系)の放送中に鬼越トマホークが出演するCMが流れたのは、ある意味で皮肉だった。お笑いのみならず芸能人の仕事の中でもっともギャラが高いのはCMなどの広告案件であり、それは本来『キングオブコント』などの賞レースで優勝したその先にあるものだったはずだ。
テレビ東京の深夜番組『ざっくりハイタッチ』で「ケンカ芸」が注目を集めたのは2014年、あれからもう10年になる。
当初、鬼越はこの「ケンカ芸」でさまざまな番組に呼ばれ、そのたびにケンカを止めにきた芸能人に「芯を食ったことを言い返す」という極めて難しいミッションを課せられていた。『ざっくり』時代は相手が芸人だけだったので自由に暴れることができたが、大御所タレントや俳優を相手にしなければならなくなると、2人はその日スタジオにいる出演者全員を調べ上げ、ネタを「食って」収録に臨んでいたという。
「うるせえなぁ」と坂井良多が怒鳴りながら、視聴者が考える一枚上のワードを繰り出し、金ちゃんが「本当はそう思ってないと思うんですけど」と言いながら、もう一枚上をかぶせるというパターンはスベることも少なくなかったというが、その姿はあらゆる芸能人を餌食にしていった有吉弘行の「あだ名芸」を彷彿とさせるものだった。
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