◆日本の手袋の産地、香川県のメーカーから選んだ
手袋選びは慎重にしなければなりません。なぜなら、その手袋は過去の記憶が記録されたソフトな記憶媒体となってしまうからです。それはモノとして朽ちてもなお、私たちの記憶を保持し続けます。
そこで私は新しい手袋を買うのに、素材、色、手指が出ているほうがいいか出ていないほうがいいか、どこで、誰から買うかなど、2か月にわたり検討し続けました。
検討している間にわかったのは、日本の主要な手袋の産地は香川県で、明治時代から生産されているということ、手袋メーカーが数社あり、それぞれ独自のデザインで生産しているということでした。どうせなら、そういったメーカーから買おうということで、あれこれ悩み、最終的には色と素材を優先し、過去使っていて一番使いやすかったのと同じウールジャージー素材のごくシンプルな手袋を買うことにしました。
◆寒さが防げれば防げるほど、心も温まる
冬は帽子をかぶり、首、足首、そして手首を温めると、大分寒さを防げます。そして寒さが防げれば防げるほど、心も温まります。そのことに気づいてしまったときから、なくても生きていける手袋は、私にとってなくてはならないものになりました。
残るのは紛失対策です。次はなくしてしまわないように何か対策をしなければなりません。グローブクリップやグローブホルダーのどちらかを取り入れればいいかなと思っています。
そしてあとは、ソフトな記憶媒体であるこの新しい手袋に、いい思い出がたくさん記録されるよう祈るばかりです。
<文/小林直子>
【小林直子】
ファッション・ブロガー。大手ブランドのパターンナー、大手アパレルの企画室を経て独立。現在、ファッション・レッスンなどの開催や、ブログ『誰も教えてくれなかったおしゃれのルール』などで活躍中。著書『わたし史上最高のおしゃれになる!』など。