奈良では2020年12月末までの間、疫病退散を願う「奈良大和四寺巡礼特別参拝」が行われています。今回は四つのお寺の中から「長谷寺」をご紹介します。巨大な十一面観世音菩薩を真近で見て、直に触れることもできる貴重な体験です!

奈良大和四寺巡礼特別参拝とは

写真:こごみ

奈良大和四寺巡礼とは、西国三十三か所の巡礼とは別の、疫病退散を願って行われる特別な巡礼です。巡るお寺は、「長谷寺」「室生寺」「岡寺」「安倍文珠院」の四寺。どちらのお寺にも、厄除け、魔除け、疫病退散に関する仏様が祀られています。

今回ご紹介するのは、その「奈良大和四寺巡礼」の特別参拝です。特別参拝期間は12月末までとなっており、参加するには以下の専用フォームより事前の予約が必要です。

  • 予約専用フォーム

今回は奈良大和四寺巡礼特別参拝で巡る四つのお寺の中から、花の寺として有名な「長谷寺」の様子について紹介します。

通常の特別拝観との違い

写真:こごみ

長谷寺では通常、秋の特別拝観が行われています。特別拝観では、普段入ることのできない本堂の中に入り、ご本尊である十一面観世音菩薩を間近で見ることができる上に、御足に触れることができます。四寺巡礼の特別参拝では、それに加えて、僧侶による境内の説明案内、御朱印の特別巡礼衣がいただけます。

長谷寺での四寺巡礼特別参拝の流れ

スタートは長谷寺仁王門前から

写真:こごみ

四寺巡礼特別参拝の集合場所は、入山受付と仁王門の前のエリアです。時間になれば、担当のお坊さんと共にスタート。四寺巡礼特別参拝のメリットは、この“僧侶による案内と説明”です。長谷寺にまつわる知識やエピソードをいろいろと聞けるのは、とても有意義な時間になります。

長谷寺といえば長い登廊

写真:こごみ
写真:こごみ
写真:こごみ

長谷寺といえば、399段の登廊(のぼりろう)です。上中下の3廊に分かれていますが、一番上の登廊以外は、明治以後に再建されたものだそうです。優雅な登廊は風情がありますが、なかなかのしんどさ!お坊さんも頻繁に昇り降りすることはないそうで、ちょっと息が切れ気味でした。

写真:こごみ

一番上の登廊は古いままの姿をとどめているので、階段も急です。電気のなかった時代、暗くなると手すりだけを頼りに昇り降りをしていたとのことで、柱には長い年月によってできた参拝者の皆さんの指の形に凹んでいる部分があったりします。

巨大な十一面観世音菩薩

写真:こごみ

本堂に着くと、仏様とのご縁を結ぶ“五色線”がいただけます。仏の五つの知恵を表す五色の色を縒(よ)り合わせた腕輪です。これをはめて、いざ観世音様にご対面。

写真:こごみ

写真撮影はできないのですが、10メートル以上あるそのお姿は圧巻の迫力で、国内の木造としては一番大きいのだとか。通常お地蔵さまが持っている錫杖を手にしためずらしい菩薩さまです。かつて疫病を引き起こしたとされる巨木を、あえて仏像にして疫病を封じたとされています。消毒済みの手で、1人ずつ順番に御足に触れながら参拝します。

舞台でお参り

写真:こごみ
写真:こごみ
写真:こごみ

本堂を出た後は、断崖絶壁の舞台造の本堂正面にまわり、お坊さんの読経と共に参拝者のみなさんでしばし手を合わせます。通常はここから、十一面観世音菩薩の上半身を見ることができます。

巡礼コースはこちらで終了。質問にも丁寧に答えてくださったお坊さんにお礼を言って解散です。