偶然、女が屋敷を訪れていたタイミングで、隠居を殺した強盗と遭遇。女は強盗も隠し部屋に押し込みましたが、殺し損ねていたため左右馬たちに発見されてしまい、真相が明らかに。
左右馬は、10年前の妻殺しと強盗事件と、2つの事件を一挙に解決に導いたのでした。
鹿乃子の「嘘を聞き分ける能力」は事件解決には関与せず、ただ駆け出しの絵描きと女給との恋の成就の手助けをするにとどまりました。
■謎の女の謎感がすごい
第4・5話では横溝正史風の話を持ってきた同作ですが、今回は江戸川乱歩っぽいホラーテイストのお話でした。物語のキーになったモデルの女を演じた坂東希の回だったと言って差し支えないでしょう。
真っ赤な釣鐘帽に深紅のロングコート。パキッとしたメイク。たいへん美しくありながらも、全身から怪しい雰囲気を放っています。
このドラマが昭和初期という時代設定をうまく生かしていると感じるのは、こういうところなんですよね。
和装と洋装が混在し、女の人が誰しも化粧をするわけではない時代なので、キャラクターを衣装とメイクによって明確に描き分けることができる。こんなふうにさまざまなバリエーションの衣装を使ってドラマを作れる時代は、長い日本の歴史において大正から昭和の数十年間しかないわけですから、確かに作品の個性としてアピールされていると感じます。
このドラマの衣装部は楽しいでしょうね。もちろんそれなりに時代考証は大変だとは思いますけれども。
(文=どらまっ子AKIちゃん)