「蒸す・つく一体型」の家庭用餅つき機を開発し特許を取得しているみのる産業は、若い世代にも餅つき機を身近に感じてもらい、餅つき文化を日本の食卓に残していくために、スタイリッシュな黒色の餅つき機を11月20日(水)に発売する。
電気洗濯機以来のヒット商品
みのる産業は1945年創業の農業機械メーカー。日本初の稲刈り機をはじめ、世に送り出してきた発明品は500機種以上にのぼる。1970年に発売した餅つき機もその一つだ。
当時はもち米をつく機能のみだったところ、同社の創業者である生本實氏が「蒸す・つく」一体型の餅つき機を開発し、特許を取得。初年度から見込の15倍となる3万台を販売し、電気洗濯機以来のヒット商品といわれた。
その後、「餅つき機のみのる」としても知られるようになり、日本を代表する大手家電メーカーからのOEMも手掛け、ピーク時には年間65万台、トータル650万台を製造したという。しかし、核家族化や住宅の狭小化を背景に、収納スペースを取る大型の餅つき機の製造は年々減少していった。
時流にのった3合餅つき機「つき姫」
二升、三升用餅つき機は重く、収納スペースを取るため、使用は正月のみという家庭が多い。さらに真空パックの餅も登場し、つきたてのお餅を食べたことのない世代も増加。餅つき文化は身近な存在ではなくなりつつある。
そこで、2015年、創業70周年記念事業の一つとして、二代目代表取締役の生本純一氏が取り組んだのが、核家族が一度に食べきれる3合サイズの餅つき機の開発だ。開発者の杉本氏は「『餅はつきたてが一番おいしい』というと原点に返りました」と話す。
サンリオの人気キャラクター「ハローキティ」とコラボし、キティ型の3合サイズの餅つき機を開発。人気を集めたものの、他社のキティ型家電の事故を受けて販売中止になってしまう。
その後、コンパクトサイズの餅つき機が欲しいという要望を受け、デザインを変えて登場したのが「つき姫」だ。2017年の発売以来、「蒸す・つく」がわずか25分という時短と、一人でも餅が手軽につける点が中高年の女性を中心に好評を博し、関東地方を中心に、2024年10月末時点で29,400台を販売する。