ところがスタミナがつくどころか体重が増えて身体がなまってしまう。せっかく気合いが入り始めたというのに、結の家まできた野球部の監督からはきつく注意されてしまう。気持ちが沈んで夕食の箸があまり進まない結の元に、翔也がやってくる。

 翔也は謝罪しながら、でも慣れない料理を自分のために毎朝作って渡してくれたことがほんとうに嬉しかったと素直な気持ちを吐露する。カメラがふたりを真横から捉える。このとき、翔也の袖はまったく風になびいていない。ぴたっとなびくことをやめたその袖を見て、あぁこれは恋の予感だなとはたと気づく。

 実際、結はその夜から翔也に胸キュン。恋い焦がれることになるのだが、ユニフォームの袖きっかけで、佐野勇斗の微動を楽しむドラマとして本作を見ると、これは、なかなか面白いと思う。

<文/加賀谷健>

【加賀谷健】

音楽プロダクションで企画プロデュースの傍ら、大学時代から夢中の「イケメンと映画」をテーマにコラムを執筆している。ジャンルを問わない雑食性を活かして「BANGER!!!」他寄稿中。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。Twitter:@1895cu