不器用に、ライオンの髪にハサミを入れるヒロト。出来上がったのは、世にもかわゆいおかっぱライオンなのでした。うわ、かわゆ……って、思わず言っちゃったもんね。
絆を深めた3人が翌朝、あいかわらず牛乳をこぼしたどうしたと大騒ぎしているところに、ずっと事件を追っている週刊誌記者・工藤楓(桜井ユキ)が訪ねてきたところで、次回へ。
■謎らしい謎はすべて解かれた
かなり思わせぶりに説明されてきたサスペンスパートですが、今回でおおむね謎は明らかになりました。これにより、ライオンの身柄を押さえたい祥吾の手からライオンを守るヒロトという構図が確定し、次回は3人で船に乗っているシーンもあるようですので、どうやら逃亡劇、3人のドタバタロードムービーという趣になっていくのかもしれません。
このドラマには2人の脚本家がクレジットされています。おそらくは、ASDの青年とやんちゃ坊主によるホームコメディと、リニア利権とDVがからんだサスペンスパートで分業していたということだと思うんですよね。それくらい、この2つのストーリーラインにおけるニュアンスはかけ離れていたし、散漫な印象があった。ヒロトが2つのストーリーに参加しなければならないので、行動の合理性に疑問符が付く場面も少なからずありました。
現状、このドラマの最大の魅力はやはり坂東龍汰のASD青年であって、今回も夕陽の色をカラーチャートに当てはめてみたり、ライオンにシマウマのパジャマを買ってきて、動物博士の視点からそのメタファーを滔々と語ってみたりと、実に細やかにみっくんの魅力が演出されています。
ロードムービーの醍醐味は、その人物の本性や本音、本心が明らかになっていくことにあります。これまで、平穏であることを最優先してきたヒロトとみっくんという兄弟がライオンという闖入者によって生活をかき乱され、さらに家を出ることで不安定になるはずです。そうなったとき、ヒロトも見たことがないみっくんが現れるかもしれないし、それでもヒロトは対応していくしかない。