巨額の資産を築き上げたビリオネアにも、ビジネスをする上でマイナスに働きかねない弱点はある。例えば、ウォーレン・バフェット氏やビル・ゲイツ氏はマネジメントが苦手だったようだ。
本人が自覚しているものから第三者が指摘するものまで、「偉大な投資家5人の意外な弱点」をご紹介しよう。
バフェット――コスト削減・リストラ・マネージメント改革が苦手
数々の企業を買収してきたバフェット氏だが、買収後の組織再編は苦手だ。コスト削減やリストラ、マネージメント改革などで自ら指示をあたえた経験がない。
業績をさらに悪化させかねないやり方にバフェット氏の強い個性がでているが、それが彼にとって最大の弱点であることを本人も2013年の株式総会で認めている。
子会社の監督不十分で重要なこと見落とすリスクがあると頭では理解しており、自らを「ずさんなマネージャー」「人事異動の決断が遅い」などと評価している(フォーチュン2014年5月6日付記事)。
ジョン・メイナード・ケインズ――為替取引で破産寸前
「経済学史上最も重要な人物のひとり」である偉大な経済学者ケインズ氏は、為替トレーダーとしての腕は今ひとつだった。
London School of Economics and Political Scienceが2015年12月に発表した調査報告書によると、米ドル・仏フラン・独マルク・伊リラ・蘭ギルダーの売買で利益創出を試みたケインズ氏は、1920~1930年代の間にかなりの損失をだした。1920年には破産寸前で、周囲から資金を借りて取引を続けていたという。
ケインズ氏は株式、不動産、商品、為替市場に熱心に投機家だったが、1919~39年にかけて同氏が行った350件以上の為替取引データを分析した報告書の作者、LSE経済史学オリバー・アコミノッティ准教授と、Cambridge Judge Business Schoolのデヴィッド・チャンバース講師は、「ケインズ氏は通貨取引より株式を買う方がはるかに得意だった」と結論付けている(ガーディアン2016年1月12日付記事)。
ビル・ゲイツ――雇用・経営は人任せ
バフェット同様、マネジメント面が苦手だというゲイツ氏。2018年2月にニューヨークで開催されたイベントで、「採用や経営が苦手で、チーム編成では常に周囲に助けてもらっている 」と語った。
エンジニアリングが得意だったゲイツ氏にとって、経理やセールスは興味をそそられる領域ではない。「興味がない領域が得意になる見込みは薄い」ので、それを補うために大勢の専門家を雇っているという。苦手分野で苦戦するよりも、あっさりと得意な人に任すというのも一案だ(CNBC2018年3月29日付記事)。