解像度の高い人間描写

綺麗事でないといえば、今作は親の描写も非常に現実味を帯びている。常に無償の愛を与える存在などではなく、親もひとりの人間として息子の制御不能な行動に悩み、時に感情を爆発させてしまう。その上で、時折見せる子どもの笑顔や楽しそうな様子には自然と微笑みを浮かべ、親も愛情にあふれた視線でそれを見つめる。

ジェイソンも、両親も、すばらしい(が直接教育にかかわるわけではないからこそフラットで気楽に接することができる)祖父母も含め、それぞれの登場人物をアイコン化せず、それぞれの人物像を解像度高く描いたところにも今作のすばらしさはあるといえよう。

©2023 WIEDEMANN & BERG FILM GMBH / SEVENPICTURES FILM GMBH Subsidized by German Films

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