そんなゴジラシリーズといえば、『-1.0』の前作は言うまでもなく『シン・ゴジラ』だ。アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』シリーズや『ふしぎの海のナディア』『トップをねらえ!』などの作品で知られる庵野秀明氏が脚本・総監督を務めた。周知の通り、2016年に公開され、興行収入82.5億円を記録、こちらも国内の映画賞を総なめにした。
そんな庵野監督と山崎監督は『-1.0』の公開直前、昨年10月27日、同作の上映記念イベントでのトークショーで共演。山崎監督が「『シン・ゴジラ』の後、ペンペン草も生えないところにゴジラ映画なんてバカ野郎も作らない』と自虐的に語ると、庵野監督が『本当によくやったよね』と感心しつつ、「いろいろね、ツッコミどころは満載なんだけど……」とリップサービスを披露すると、山崎監督から「うるさいよ!」と笑顔でツッコミを入れられる場面も。
また、現場を見学したという庵野監督から「なんでこっち側からばかり撮ってるのかなと思った。そんなに素材使わないでしょ」と指摘された山崎監督が、「そんなこと言われたくないですよ。あれだけ素材を撮って……」と『シン・ゴジラ』でスマホを何台も使用して撮影した庵野監督にクギを刺すひと幕もあったという。
「庵野監督も山崎監督に勝るとも劣らない『ゴジラ』ファンとして知られていますからね。『シン・ゴジラ』の制作を打診された際には『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の制作中ということに加えて、1954年に製作されたシリーズ第1作こそ怪獣映画の最高峰であり自身が制作する必要はないとの想いから、当初は固辞したほど、『ゴジラ』という作品に強い敬意を抱いていましたから。ともに大のゴジラ好きであり互いに才能を認め合う同士だからこそデリケートな時期のトークショーも実現したんでしょう。ただ、結果的にどちらの作品も成功を収めたというのはゴジラファンにとっても感慨深いものがあります」(前出の竹下氏)