「ドンキ」の愛称で親しまれ、独特な内装や店内音楽で有名な「ドン・キホーテ」ですが、実は業績がとても順調だとご存じでしたか。1989年の1号店以来、直近の2020年6月期まで、常に増収増益を達成しています。
ドン・ キホーテはなぜ好調なのでしょうか。秘密を探ってみましょう。
ドン・キホーテ グループ売上推移
まずは直近の業績を確認しましょう。ドン・キホーテのグループ全体の売上は以下の通りです。
〇2018年6月期:約9,415億円
〇2019年6月期:約1兆3,289億円
〇2020年6月期:約1兆6,819億円
2009年6月期では約4,809億円でしたから、直近までに売上が3倍以上になっています。
前期から売上1兆円企業に 「ユニクロ」に迫る
前期の2019年6月期から売上が1兆円を超え、日本有数の小売企業となりました。売上規模は「ユニクロ」に迫る水準です。
【主な売上1兆円以上の小売企業】
〇イオン(2020年2月期):約8兆6,042億円
〇セブン&アイHD(2020年2月期):約6兆6,444億円
〇ファーストリテイリング(2020年8月期):約2兆88億円 ※「ユニクロ」
〇ヤマダHD(2020年3月期):約1兆6,115億円 ※ヤマダ電機
〇三越伊勢丹HD(2020年3月期):約1兆1,192億円
ドンキを支える、「ドンキ以外」の事業
ドン・キホーテの主力は、「ドン・キホーテ」を代表とする「ディスカウントストア事業」ですが、増益となったのは「総合スーパー事業」や「テナント賃貸事業」です。
各部門の業績は以下のようになりました。
売上の推移 (2019.7~2020.6) |
営業利益の推移 (2019.7~2020.6) |
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金額 | 増減 | 金額 | 増減 | |
ディスカウントストア事業 (ドン・キホーテなど) |
約1兆1,175億円 | +10.0% | 約473億円 | ▲4.6% |
総合スーパー事業 (アピタ、ピアゴなど) |
約4,916億円 | +84.8% | 約170億円 | +141.4% |
テナント賃貸事業 | 約582億円 | +48.8% | 約136億円 | +74.2% |
2019年1月に「アピタ」など総合スーパーを手がける「ユニー」を完全子会社にし、直近から業績にフル連結された効果が出ているようです。ディスカウントストア事業の減益をカバーし、31期連続増益に貢献しました。
ドン・キホーテのビジネスモデル① 多様な業態で幅広い顧客を獲得
ドン・キホーテはグループに多様な業態のお店を持っており、それぞれターゲット顧客が異なります。
例えば「ドン・キホーテ」は若年層や外国人を、総合スーパーの「アピタ」や「ピアゴ」などは主婦やミドル/シニア層をターゲットにしています。
1つの業態では獲得できない顧客も、多様な業態のお店を展開し、幅広い顧客層をカバーする戦略を取っています。