ハッピーエンドにも思える『ブラックファミリア』の最終回なのだが、このドラマ、結局「最後のオチ」をやりたかっただけのようにも思える。葵が一緒に暮らすのはやや衝撃だが、一葉はともかく他のメンバーが家族を殺した犯人をすんなり受け入れているのがどう考えてもおかしい。このオチだけやれればいいや! という投げやり感は否めない。
本作品は、とにかく「伏線」や「ミステリ要素」が少なく、ひたすら「あの手この手で復讐」をするという内容だった。娘を殺した犯人を捜すという主題だが、そこに推理要素はなく、葵が犯人とわかる描写も唐突だった。現代はSNSが発展しているため、下手な伏線やミステリ要素を出してもすぐにバレてしまう。だからこそ制作者は「ノリ」や「雰囲気」で物語を押し通す選択をしたのかもしれない。それは「逃げ」ではあるが、制作側の苦悩も理解できなくはない。
ミステリーとしてもヒューマンドラマとしても全体の厚みは物足りないと断じざるを得ないが、演者はそれぞれしっかり仕事をこなしていた。決して派手なキャストではない分、演技は安心してみていられた。特に平山祐介の気持ち悪いエロ親父の演技はなかなかで、渡邉理佐も元アイドルから女優として着実にキャリアを積んでいることもわかった。それだけでも放送して良かった、とは言えるのではないだろうか。
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