また、“他にも削るところがある”と指摘するのは、ライバル局の幹部社員だ。
「かつてNHKは、民放と比べれば年収はかなりの差がありましたが、民放の給与はここ10年ほどで一気に下がっており、局によってはピーク時から半減したところさえある。ところがNHKは約1万人の職員を抱えながら、平均年収は1000万円以上ともいわれ、その額は民放と同等かそれ以上。経営スリム化を図るなら、まずは人件費を削るのが筋でしょう。そもそもNHKの経営は、“テレビは1台売れれば、毎月黙っていても収入が入ってくる”というビジネス。しかも受信料は、動画配信サービス並みかそれ以上です。それなのに“受信料値下げで実入りが減るから放送局を1つ減らします”とは、殿様商売もここに極まれリといった感じです」(キー局関係者)
一方では、こんな思惑もあるという。
「現在4K放送の普及率は、ざっと2割ぐらい。それでもNHKがこのタイミングでBS再編に踏み切ったのは、4Kテレビ購入の起爆剤にしたいからです。テレビ業界にとって大きな事件だったのは2011年の“地デジ化”。これによってブラウン管テレビはお役御免となり、莫大な買い替え需要が発生したことで、テレビ関連企業は大いに潤いました。あれから10年以上が経過し、多くの家庭はそろそろテレビの買い替えのタイミングに差し掛かっている。いわば“あの夢をもう1度”ということです」(ビジネス誌記者)
こういった小賢しいやり方が、テレビ離れを加速させていることに気付いているのだろうか……。