民家のない山道を歩く後半戦
高原から出ると、石畳の熊野古道らしい道に入ります。
アップダウンを繰り返しながら 大門王子 や 十丈王子 などいくつかの王子を歩いていきます。途中、反対側が崖になっている道幅の狭い道もあるので、足元には十分注意しましょう。
高原から3時間20分ほどで中辺路のシンボルとも言える 牛馬童子像 があります。こちらは、古道から少し道を外れた小山の上にあるので、道標を見逃さないようにしてください。
この牛馬童子のある箸折峠の丘は、花山法皇が御経を埋めた所と伝えられ、こちらの像は花山法皇の旅姿をモデルにしているとも言われています。
1日目の宿泊地 近露
この像から10分ほどで近露(ちかつゆ)の集落に到着です。
近露の名前の由来は、おもしろい言い伝えから来ています。先ほどご紹介した牛馬童子のモデルとなった花山法皇が、食事の際カヤの軸を折って箸にしたため、像があった場所の名が箸折峠となり、その時軸の赤い部分に露が伝うのを見て「これは 血か露か 」と尋ねられたので、この場所が 近露 という名前になったそうです。
近露にはいくつか宿泊施設がありますが、いずれも収容人数が少なく、また2020年現在コロナの影響により休館、もしくは1日1組など人数制限をしているお宿もあります。予定を立てたら早めに宿泊先の予約をすることをおすすめします。宿泊先選びには熊野トラベルを利用するのが便利です。
今回筆者がお世話になったのは「近露 櫻の園」さん。1日1組限定ということで、別館を一人で広々と使わせていただきました。お食事も美味しく、とても快適なお宿でした。
【2日目】近露から発心門王子を経て川湯温泉へ
2日目は昨日よりも長い行程となります。朝ごはんをしっかり食べて近露を出発!
近露から見どころの多い継桜へ
近露からしばらくは舗装道が続きます。
近露から1時間20分ほど歩いた先にある継桜には、ご神木に囲まれた 継桜王子社 や 野中の清水 、 とがの木茶屋 などがあります。また少し先に行くと安倍晴明が腰かけて山崩れを呪術で防いだと伝わる 安倍晴明の腰掛石 も。
熊瀬川王子から先、う回路の案内に注意!
熊瀬川王子の手前からまた山道へと入ります。その後、熊瀬川王子の1.1キロ先がう回路起点となっていますので、案内板に従ってう回路へと歩きます。
う回路は大きな岩が点在する足場の悪い道もあり、また急な登りが30分弱続くタフな道。ですが山頂を超えると平坦な林道になりますので頑張っていきましょう。
徐々に下って 蛇形(じゃがた)地蔵 、 湯川王子 へとたどり着きます。古くはこの湯川王子の周辺で上皇や貴族が休憩や宿泊をすることが多く、御所や宿所が設けられていたそうです。
湯川王子を過ぎ、本日最後の峠超え、三越峠を越えるとあとは下り道や平坦な道が続きます。
2020年10月4日現在、音無川沿いの道を船玉神社へ向かう道の途中がう回路となっています。こちらのう回路は観光センターでもらった地図にも反映されていませんでしたので、現地での標識を見落とさないように注意を払ってください。
う回路の分岐点から45分ほどで本日の最終目的地、 発心門王子 に到着です。発心門王子は神域への入口とされ、「悟りの心を開く入口」とされる大鳥居があったことが名前の由来。王子の中でも格式の高い五躰王子の一つです。
熊野古道を一旦離れ、川湯温泉へ
発心門王子から5分ほど歩くと発心門王子のバス停があります。2日目はここからバスに乗って川湯温泉へ。
バスの時刻は本数が少ないため、事前にしっかりチェックしておきましょう。
川湯温泉は、熊野川の支流である大塔川沿いに旅館が並んでいます。川原を掘るとお湯が湧き出る珍しい温泉です。こちらで有名なのは冬(12~2月)の期間、川をせき止めて作られる巨大な「仙人風呂」。
筆者が宿泊した 「川湯温泉 山水館 川湯みどりや」 さんには川湯の露天風呂があるので、遮るものが何もない解放感たっぷりの温泉を堪能できます。露天風呂に入るための浴衣が用意されているので、女性の方もご安心ください。温泉にゆったり入れば、今日1日の峠超えの疲れも癒されます。