NPO団体の代表かつ売れっ子SM嬢として登場した舞ちゃん(橋本愛)について、前回、なんでこのドラマはこんなに批判的で攻撃的なんだろうと思ったんですよね。「舞ちゃん的な子」に対して「全部おまえの自己満足だろ」「自己実現オバケだろ」と指弾しているように見えて、その理由に興味が残っていた。でも、そこはあんまり明確にならないで、なんとなく終わるんだろうなと思ってたんです。
ここには、驚くほど明確な回答が用意されていた。
ヨウコさんの無免許をネット上にリークしたのが、舞ちゃんだった。舞ちゃんは承認欲求を満たすためと、ヨウコさんが人気者になっていくことに嫉妬を覚えたために、ヨウコさんの失脚を目論んでそういうことをしていた。
「自己実現オバケ」というのは、自分が何かを他人に施して、その施しによって他人が幸せになることで自分の欲求を満たす人という意味です。でも、ドラマはそれ以上のオバケ、「承認欲求オバケ」として舞ちゃんをずっと描いてきたことが明らかになったわけです。ただ他人に施して幸せにするだけじゃ満足できない。それが評価されなければ意味がない。最後の最後で、舞ちゃんという子をそう定義づけたわけです。
このドラマに登場したルミナウイルスが新型コロナウイルスをモデルにしたように、舞ちゃんにも具体的なモデルがあるんでしょう。歌舞伎町でピンクのバスを停めて活動している女性たちへのネット社会の風当たりを、そのまま無批判にドラマに取り込んでいるわけだ。ここもちょっと、かなりダサいです。
まとめとしては、個人の葛藤や苦しみを描いていた前半はおもしろかった。社会を語り始めた後半はダサかった。そんな感じ。
「『悪いことすんな』って言ってんじゃないの。『ダサいことすんな』って言ってんの。わかる?」って『IWGP』でキングが言ってたけど、もうあんましダサいクドカンは見たくないんだよな。
(文=どらまっ子AKIちゃん)