実際、ボクシング関係者は今回の試合をどう見たのか。話を聞いた。

「前回に比べて重心が低く、パワーパンチを打ち込もうという意識は感じられました。1ラウンドにダウンを取ったカウンターは見事としか言いようがないですし、相手の攻撃もほぼすべて見切っている。本人の言う通り、よりボクシングらしいスタイルに進化しているように見えましたよ。この内容で批判が集まるのは、人気者の宿命とはいえ不憫ですね」(ジム関係者)

 今回、那須川は試合前から「殴る」「殴りにいく」といった発言を繰り返し、やはりノックアウトを強く意識していたようだ。それもあって、試合後のネット上には、KOを期待したファンから厳しい意見も続出し、将来を不安視する声も少なくない。

「まあ、ボクシングの醍醐味はノックアウトですから、ファンから不満の声が上がるのも仕方ない部分はあると思います。ですが、この試合で那須川選手の将来に不安を感じたかと問われれば、そんなことはまったくないですね。相手は軽量級の層が厚く、パンチ力だけなら那須川選手より上の選手もゴロゴロしているメキシコの国内王者です。当然、耐久力があるからこそ勝ち抜いてきているわけですし、今回の試合でグスマンはほとんど自分から仕掛けることがなかった。よりリスクを負って攻め続けたのは那須川選手ですし、これでまた強くなるだろうという期待しかありませんね」(同)