◆ちびすけ、家族の一員になる
甘利兄さん、福本兄さん、波多野姉さん、そしてママこととびちゃんも、ちびすけを家族と認めたようです。椹野さんいわく、「ちびすけ持ち前の、物怖じしない、開けっぴろげでフレンドリーな性格が、警戒心の強い先住猫たちの心をこじ開けたようです」。
ちびすけの存在が、猫たちの執事である椹野さんの日常に、新たな彩をもたらしました。きっと猫たちにとっても、突如現れたちびすけの無邪気さや明るさが、癒しになっているのではないでしょうか。なぜなら、ページをめくっていくごとに、体だけではなく心の距離が縮まっていき、絆が深まるのがわかるのです。
「猫のいない人生など、もはや想像することもできません」と椹野さん。猫同志の愛と、猫にそそぐ愛と、猫たちからにじみ出る椹野さんへの愛を、どうぞ本書から味わってください。
<文/森美樹>
【森美樹】
1970年生まれ。少女小説を7冊刊行したのち休筆。2013年、「朝凪」(改題「まばたきがスイッチ」)で第12回「R-18文学賞」読者賞受賞。同作を含む『主婦病』(新潮社)、『母親病』(新潮社)、『神様たち』(光文社)を上梓。Twitter:@morimikixxx