「人生の節目には、いつも猫との出会いがあった」。そんな風に語るのは、『ちびすけmeetsおおきい猫さんたち』(三笠書房)の著者、椹野道流さん。医師、非常勤講師、そして作家の椹野さんの自宅には、常に複数匹の猫がいました。ある大雨の夜、一匹の子猫と出会います。それがちびすけです。母猫とはぐれてしまったちびすけは、椹野さんに抱かれるなりゴロゴロと喉を鳴らしました。椹野さんを信頼し、心を許した瞬間でした。
私も猫を飼った経験がありますが、猫はきちんと人を見ています。安心できる人なのか、頼っていい人なのか、その研ぎ澄まされた瞳で人の本質を見抜くのです。生きるか死ぬかの瀬戸際で、ちびすけは椹野さんに命をあずけると決めたのでしょう。