実社会では同じ地域、同じ職場、同じ学校にいても関係が希薄なことが多い。『下剋上球児』では野球を中心に生徒、地域の大人たちがひとつになる大団円であり、単に高校野球に盛り上がるのではなく南雲をはじめとした大人たちの葛藤を経てのフィナーレとなった。そして高校野球が元来もつ熱気や爽快感、そこに大人たちのリアルな心情がストーリーに深みが生まれた『下剋上球児』は、野球ドラマの新たな可能性を示したことは間違いない。エンディングには越山高校ナインの2023年冬の姿も映し出され、社会人野球や越山高校野球部のコーチ、地元活性化の担い手など多方面で活躍していることがわかった。『下剋上球児』は青春ドラマであり、登場人物の成長の軌跡を示すヒューマンドラマだったと筆者は思う。

■番組情報
日曜劇場『下剋上球児』

TBS系毎週日曜21時~
出演:鈴木亮平、黒木華、井川遥、小泉孝太郎、中沢元紀、生瀬勝久、小日向文世、松平健 ほか

脚本:奥寺佐渡子
原案:「下剋上球児」(菊地高弘/カンゼン刊)
音楽:jizue
主題歌:Superfly
プロデュース:新井順子
演出:塚原あゆ子、山室大輔、濱野大輝
編成:黎 景怡、広瀬泰斗
製作:TBSスパークル、TBS

公式サイト:tbs.co.jp/gekokujo_kyuji_tbs/