謎の男の正体は、以前狩山と仕事をしたことがある工務店社長・半田(田中哲司)。半田は長女を暴力事件で亡くしており、犯人はいまだ捕まらず。自らの手で犯人に復讐し、その罪を逃亡犯である狩山に擦りつけようとしていた。動機としては筋が通っているが、それが本心であれば狩山を拉致してすぐに犯人に復讐すればいいはずだ。にもかかわらず数日にわたり衣食住を狩山に与えているのは不自然で、なにか裏があるのかもしれない。

 第5話は狩山と半田、半田工務店の職人たちによるハートウォーミングな建築現場物語がメインだっただけに、クライマックスの緊迫感が一層際立ったと感じた。狩山の潜伏先として半田宅を探し当てた刑事・黒木(竹内涼真)は“おだやかな家宅捜査”を始める。狩山と黒木による“静かなおにごっこ”は息をのむ展開を見せ、隙を見て狩山は半田宅から脱出すると思いきや、まさかの観念。その際、半田が復讐用の包丁を背に隠し持っていたのは、なにか考えがあってのことだろう。

 本作品の主軸は龍神大橋の崩落事故だと思っていたが、半田の長女が被害者の暴行事件も関係していくようだ。狩山をかくまっているのが半田だと知った黒木は、「めぐり合わせってやつ?」と口にした。黒木は暴行事件の捜査もしているようで、頭の中で点と点がつながったのかもしれない。そう、いずれの事件にも“ある人物”が関わっていると……。

 作品中盤で早くも対峙することとなった狩山と黒木。自分そっくりの兄(若松)を崩壊事故でなくしている黒木はおそらく狩山をすんなり刑務所に戻さないだろう。元をたどれば東京都知事・榛名(賀来千香子)が刑務官・林(上川隆也)に指示を出し狩山が脱獄できるようアシストしたのが発端であり、龍神大橋建設の旗振り役の榛名、長女を暴行事件で亡くした半田が狩山の逃亡に関わっている。そこに両事件を捜査する黒木が加われば話が早い、黒木も狩山を“利用”して真相究明に参加するだろう。次回第6話の予告動画では狩山が再び逃走し、黒木は狩山に向けて発砲するシーンがあったが、「狩山に逃げられた」というテイで狩山をあえて逃がす展開になると思えて仕方がない。