◆友人の助言は「家族を大事にしなきゃ」

 一人で悩みを抱えきれなくなったかなみさんは同級生に相談すると、親を大事にするべきだ、との返答が。かけがえのない家族だからこそ、今冷たくしたらあとあと必ず後悔すると友人は主張するのです。

 母親からのLINEは誤字脱字だらけ。文章も滅茶苦茶で何が言いたいのか分からないトークさえあります。「もしかすると母は気が動転しているのかもしれない、不慣れなスマホを扱いながら自分を本気で心配しているのかも……」と、かなみさんは自分が親不孝者であるように思えてきました。

「親子だもん、話せば分かり合えるよ」、という友人の助言を頼りにYさんからの連絡に応答。きちんと向き合う覚悟を決めたものの、彼女の決意は粉々に打ち砕かれます。

 電話口で一方的に責められ、怒られ、母親の説得は見事に失敗。意見を一切聞き入れてもらえず、“話せばわかり合える”なんて状態ではなかったと言います。

 一度連絡に反応したことが仇となり、毎日のように鬼LINEが送られてくる始末。友人のアドバイスを鵜呑みにしたことが、余計に自分を苦しめる結果を招いてしまいました。

 LINEの内容は非常に些細なことから、実家でよく聞かれていた交友関係のことやかなみさんへのどうでもいい注意など。今まで母親の口から発された言葉たちが、そのまま文章化されて送られてくるのです。

“家族を大事にする”、かなみさんはそのことを重々分かっています。けれども近づけばつらい現実が待ち受けている。「あの時心を鬼にすれば何かが変わったかもしれない」と、彼女は今でも過去の行動を悔やんでいたのでした。