◆新型があまり出ないから、ずっと最新機種のまま

「おしゃれでマイナーなスマホを持っていると人と違う個性を出せる。便利さとかじゃないんです。特に今は皆iPhoneなので、違う方いきたいなーって思って最終的にこっちの道へ……。iPhoneは新型よく出ますよね。あれで騒いだり一喜一憂したりするのが好きじゃないんです。踊らされるの好きじゃない。自分が踊りたくて踊るのはいいけど」

新型があまり出ないから、ずっと最新機種のまま
写真はイメージです。
 たしかに発売日にアップルストアに並んでハイタッチしている人とか、妙な陽キャ感があってなかなかBlackBerry派とは相容れない感じがします。

「iPhoneはアップデートが早いから、買ってもすぐに最新機種じゃなくなって引け目を感じるようになる。でも、BlackBerryは新しくならないですから! ずっと4年間、最新機種っていうのが良かったですね」

 新機種が出ないどころかOSもサポート終了。このまま消えてしまいそうな文明です。もしかしたら希少価値が生まれて、いつかエモいアンティークスマホとして骨董価値が出るかもしれません。昔のガラケーが某骨董品屋に売られていたという話も聞いたことが。マイナースマホの今後の値上がりに期待です。

「写真も画質悪くてね、よくこんな小さい画面で、って思いますよね」

 と、慈愛を漂わせた瞳でBlackBerryに触れる清野さん。もしかしたらまたBlackBerryに回帰することもあるかもしれません……。

 スマホが便利で汎用性があればあるほど、人は依存してしまい、電池とギガとエネルギーを吸い取られる……。スマホのデザインを視覚的に楽しむくらいが、まだ人間の方に主導権があって、理想的な関係性を保てそうです。マイナースマホ男子の取材で、スマホとの適度な距離感を教えられました。

<文/辛酸なめ子>

【辛酸なめ子】

東京都生まれ、埼玉育ち。漫画家、コラムニスト。著書は『辛酸なめ子と寺井広樹の「あの世の歩き方」』(マキノ出版)、『辛酸なめ子の現代社会学』(幻冬舎)、『女子校育ち』(筑摩書房)など多数。