「垣間見」 『源氏物語団扇画帖』部分、国文学研究資料館蔵、会期中場面替えあり

東京都立川市のたましん美術館は、国文学研究資料館との初めての共同開催となる企画展「源氏物語の新世界―明け暮れ書き読みいとなみおはす―」を、2025年1月11日(土)~3月16日(日)に開催する。

千年の時を経ても色あせぬ『源氏物語』

『源氏物語絵屏風』 左隻、国文学研究資料館蔵

紫式部が執筆した『源氏物語』は、雅な王朝文化華やかなりし頃の宮廷貴族の人間模様、感情の交錯を描く物語として、千年の時を経てもなお色あせぬ輝きを放っている。写本として書き継がれ、版本として刊行され、翻案作品も次々と生み出され、古典でありながら時代の移り変わりとともに自在にそのかたちを変え、新たな輝きの「場」を拓いてきた。また、見て楽しむ絵画をはじめ、文学というジャンルを超えた幅広い分野での創作のモチーフにもなっている。

広く人々に享受されてきた歴史を提示

『源氏物語歌合絵巻』 部分、国文学研究資料館蔵

「源氏物語の新世界―明け暮れ書き読みいとなみおはす―」では、『源氏物語』が強靭な生命力をもって歩んできた歴史を、国文学研究資料館の所蔵する写本や版本、絵入り本、画帖や絵巻、屏風や掛け軸などの貴重な資料とともにたどっていく。

登場人物の玉鬘が、物語に夢中になり「明け暮れ書き読みいとなみおはす(朝から晩まで熱心に物語を書き写したり読みふけったりして過ごした)」という情景は、同展覧会の副題となっており、『源氏物語』が時代を超えて多くの人々によって書かれ、読まれ、親しまれてきた歴史と重なる。人々を夢中にさせる世界観の魅力を、資料とともに読み解き、現代作家の創作へと導いていく。

『紫式部』 歌川豊国(三世)画『百人一首』部分、国文学研究資料館蔵

様々な時代の要請にこたえ、人々の娯楽の対象や創造の源としてしなやかに変容を繰り返してきた『源氏物語』の姿をたどる同展が、今を生きるそれぞれの人たちにとっての『源氏物語』を探るきっかけとなればとの思いが込められている。

若手アーティストによる作品展示や関連イベントも