◆マンションのベランダからダイブしそうに、踏みとどまれたのは…

『夫婦で心を病みました 優しい夫が双極性障害を発症したあの日から』
 夫も「死にたい」と思いつめ、やがてゆずさんも「死にたい」とマンションのベランダからダイブしそうになります。あと一歩で踏みとどまれたのは、子供の存在や、それでも一緒にいたい夫の存在があったから。そしてきっと、ゆずさんの魂が「まだ死ねない!幸せになりたい」と叫んだからではないでしょうか。

 巻末にあるのは、「自分犠牲にして、一人で抱え込まないでーー!」のメッセージ。自分の幸せもあきらめなかったゆずさんが、やがて見つけた解決策は、あなた自身が確かめてください。きっと勇気が湧いてくるはずです。

<文/森美樹>

【森美樹】

1970年生まれ。少女小説を7冊刊行したのち休筆。2013年、「朝凪」(改題「まばたきがスイッチ」)で第12回「R-18文学賞」読者賞受賞。同作を含む『主婦病』(新潮社)、『母親病』(新潮社)、『神様たち』(光文社)を上梓。Twitter:@morimikixxx